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あの歩くスピーカーは私を見つけては飛び付いてくる。今日もまた、図書館へ向かう廊下を歩いていると運悪くあいつに遭遇してしまった……。
「ロニア――! 今日も会えたねっ! これは運命だよ、ディスティニーだ! 君と僕は将来結ばれると決まってるのさ!」
「黙れ眼鏡、そのレンズ叩き割られたいか! そのご自慢の顔にもう一つだけでなく消えない傷を刻みたくなければさっさと消えろ!」
「ツンデレなんだよねロニア! 君ってば本当に可愛いね!」
「人語を話せ!」
昔からこの馬鹿には救いようがないと思っていたが十一年の間に多少忘れていたようだ。一体どうしたらそういう風に思えるのか……一度こいつの頭を割って見てみたい。ついさっきまでこいつの相手をしていたらしいドラコ・むかつく顔・マルフォイを睨みつければ、肩を竦めるポーズをした。その一挙一動にいらっとくる。
「ロニア、お前も良く知っているだろう。こいつは止まらないと」
「煩い顔男、貴様も同罪だ! その悟ったような態度にいらっとくる。ジャパニーズのごとく腹開いて詫びろ!!」
「ハッ! ロニア、君が何でそんなにツンデレを否定するのかと思ったらアレだったんだね、君はヤンデレだったんだね!」
「死に絶えろ猿頭!」
うるさい猿の頭を殴り腹を蹴る。
「ぐふっ、そんな君も素敵だよロニア!」
「塵一握りとして残さず消滅しろ!」
前々から思っていたが、この妄想族はマゾヒストなのだろうか。
「これが巷で言う殴り愛ってヤツだね! 僕は君の愛と思えばどんな暴力も受け入れられるよ!」
私は拳を固く握り締め――
「ロニアやめろ、殴っても意味がないだろう」
「止めるな顔男! こいつは一度死なねば馬鹿も治らん!」
「ぐっ……! っ、とうに一度、死んだだろう」
「ではもう一度殺すまでのこと!」
顔男が私を羽交い締めにし、私はこの顔野郎その2の脇に肘を叩き込んだ。チッ! 緩めやしない……。
「なに二人でイチャイチャしてるのさ! さあロニア! 好きなだけデレて良いよ!」
「アバダ・ケ」
「ロニア止めろ!」
数日前、このとんちんかん馬鹿と顔男のせいで私の平穏は去った……。またこれに振り回されるのか……? こいつさえ死ねば、と考えた私は悪くないと信じている――何故なら、こいつはこの世の害悪だからだ。死ねハリー・ポッター!!
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