三次試験はトリックタワー。ヒソカだけでどうにかなる試験だから、私は潜ってヒソカの中から試験を観察した。名前出てこなかった試験官がある意味自滅するのを見ながらあくびをかみ殺す。この道はどうやらこの試験官がヒソカと戦うためだけに用意したようで、試験官を殺しちゃえばあとはもうどうってことのない道だった。ひたすら階段を下りるというのもつまらないから時々何階かも良く分らないフロアに下りて一周して、偶然出会った受験者たちを殺したりしながら地上へと向かう。本当につまらなくて飽き飽きするよ。


「んー……もっと殺りごたえのある子がいると思ったんだけど☆」


 ペイッと扉から吐き出されて分ったのは、これといった難問もなく試験が終わってしまったということ。全然面白くなかった。

 次の四次試験には好きに殺せるはずだからその時まで我慢してねと言えばヒソカは目を輝かせる。本当に戦うのが好きなんだなと思うよ。そこまで私戦うのが好きってわけじゃないし、戦って興奮しても性的なものじゃないし。あ、でも命と命のやり取りは好きかな。ヒソカは強者で遊ぶのが好きで、私は強者を屈服させるのが好き。――うん、私も『ヒソカ』だなと思うね。


「四次試験楽しみだな☆」

『そうだね……成長が楽しみな奴以外、皆狩っちゃおうか?』

「それはとっても面白そうだね☆」


 青い果実以外は皆殺しちゃっても構わないと思うんだよ。あのゴンに憑依した女がどれだけ耐えられるかは分んないけど、アレの前に受験生の首を並べてみるのも良いかもしれない。ゴンなら割り切れる。女は――割り切れるかねぇ? どうでも良いけどね。


『あの女をどうにかしないとねぇ……』


 ため息を吐くと、ヒソカが体をブルリと震わせた。


『どうしたの、ヒソカ?』

「あんな奴のことばっかり考えないでよ。ヒソカはボクだけのヒソカだろ?」


 私もヒソカ、ヒソカもヒソカ。分りにくいけど私たちの中では明確な区分けがなされてる。私はヒソカでヒソカは私。でもやっぱり私が『ヒソカ』を生んだからだろうか、『ヒソカ』であるはずのヒソカは別の方向にも歪んでいる。

 腕をクロスさせて自分を抱きしめるヒソカに何とも言えない気持ちが広がった。だからこそわざと明るい声をして額をつつく動作をしながら言う。


『馬鹿だなー、ヒソカ。私が一番気にかける相手はヒソカで、二番目以降がビアンキ達で、百番目くらいに他人なんだから』


 比べる相手が間違ってる。でもこの恐怖は、もしかしたら、私の子供たち全員が持ってるかもしれないものだ。私が嫌いだと思えば殺されてしまう立場なんだから。


『私はあのゴンが気に入らないだけだよ、ヒソカ。私の一番はキミなんだからね?』


 だから、今はちょっと我慢して、私が遊ぶのを許してね。


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