久しぶりにジニーと会うことになった。外国の夏休みは本当に長いからな――二カ月の間に一年間に習った内容が全部飛んでいくような気がするのはあながち間違いじゃないだろう。真面目に復習する奴は果たして何パーセントいるんだかな。


「一月ぶりだな、ジニー。背が伸びたか?」

「ええ、ちょっと伸びたわ。でもシェーマスも伸びてるじゃない。どれくらい伸びたの?」

「春と比べると六センチだな。だがここ一月の間なら三センチくらいか?」

「膝が痛くない?」

「実を言うと今も痛い」


 漏れ鍋で待ち合わせて、一緒にアイスクリームパーラーに行ったり本屋に行ったりしよう、と予定していたんだが、オレの膝が現在絶賛悲鳴を上げているため歩き回るのはなしになった。代わりに喫茶店に入り紅茶とケーキを頼む。――これがシフォンケーキだと主張するこの店を壊してやりたくなった。


「シェーマスのケーキの方が美味しいわ」

「自慢じゃないがオレもそれに同意する」


 美味いのは紅茶だけだ。なんだこれは、ケーキというのもおこがましい。


「だがまあ場所代と考えれば悪くない値段だな。――すまないジニー、まさかここまで膝が痛むとは思っていなかったんだ」


 膝さえ痛くなかったら一緒にウィンドウショッピングに繰り出せたのに。


「気にしないで、ね? こうやってゆっくり話すのも楽しいから」


 ジニーはにっこりとほほ笑んだ。ジニーが注文したのはワッフルで、生クリームがおまけの様に乗っている。ミントの葉が鮮やかに緑色を足していた。


「そう言えばこの一月はどうだったんだ? 宿題も沢山出てただろう」

「そう言うシェーマスは最初に一週間くらいで終わらせてるんでしょ。私はあと分らないところが五分の一くらい残ってるわ」

「ああ、もう終わらせてある。分らないところはフレッドとジョージに訊けば良いんじゃないか? あの二人は悪戯で寮点を削っているが成績でその分取り戻しているくらいだ、頭が良いだろうに」

「それは知ってるけど、嘘を教えられそうで怖くて。あの二人のことだから……」


 なるほどあの二人なら平気で嘘を教えそうだ。怒られるのはジニーだというのに、平気なのだか……。


「そうだわ、シェーマスが教えてくれれば良いのよ! どうせ座ってなきゃいけないんでしょう? なら私の家に来ない?」

「突然お邪魔しても大丈夫なのか?」

「大丈夫よ。家にいるのはママと私とパーシーくらいだもの、フレッドとジョージ、ロンは外で遊びまわってるから邪魔はいないし」


 ジニーに邪魔扱いされるとは――三人も可哀想に。だがまあ、それは分らんでもない。


「じゃあ――お邪魔させてもらえるか?」

「シェーマスなら大歓迎よ」


 ジニーと連れ立ち漏れ鍋へ引き返し、煙突飛行でウィーズリー家へ飛んだ。そしてその場で待っていたのは――


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