オレは餓鬼共に対してニコニコと対応できるような優しい精神の持ち主じゃないというか、どう対応すればよいのかさっぱり分からない。ギャアギャア騒いでまるでカラスか何かの群れのようだといつも思う。もう少し自制しろと言っても三歩歩けばすぐに忘れるに違いない。あいつらは鶏か。


「Mr.フィネガン、君は止めようと思わないのかね?」


 いつの間にか校長がオレの横に立っていた。クリアウォーターが石になった現場に運悪く居合わせたオレは、あのリドルの記憶とやらに呆れかえっていた。全く馬鹿かあんたは、こんなあからさまな事件起こしてどうする。ホグワーツの誇る秀才だったんならもう少し頭を捻れば良いものを。


「さて、何のことでしょうか」


 どうせ死人は出ない。せいぜい馬鹿を晒してくれ、と思えるのはオレが原作を知っているからで、何も知らない立場からすれば明日は我が身では、石化だけで済むのだろうか、と心配になるのは当然のことだ。


「生徒たちが次々に襲われておる」

「正義のヒーローを求めていらっしゃるのでしたら、オレよりももっとふさわしい者がいますのでそちらに言ってください」


 このジジイのことだからオレを犯人と疑っているんだろうが、見当違いも甚だしい。ハリーたちのことをスネイプ教授に疑わしきは罰っせずと言ったその口でオレを疑うのだから不思議なことだ。


「Mr.フィネガン」

「見当違いですよ、校長。オレに言ってどうするんです」


 オレは石像と化したペネロピー・クリアウォーターに見切りをつけ踵を返す。アイスブルーの瞳と言うが、ただの青い目が年齢で白内障になり白く濁ったんじゃないのだろうか。








 わしはフィネガンの背中を見送りため息を吐く。かつての――五十年前を彷彿とさせる事件に頭が痛い。その犯人だろうフィネガンはどうしてグリフィンドールに入ったのだろうかと思うほど冷たい目をした少年で、才能にあふれ実力もあり、まるでかのリドルが姿を変え現れたのではないかと思える。どうやったのかは分からんがホグワーツに棲む魔物を目覚めさせ、今次々と生徒を襲わせている彼を止める術をわしは持っておらん。


「どうすべきかのぅ」


 ハリー、彼を止めてくれ。わしの声はきっと、リドルに――フィネガンには届かないのじゃ。リドルの意志を継いだ彼を止められるのは君だけだとわしは信じておる。


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