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 私はゲームが好きだ。バトルメインのじゃなくて、餌をあげて運動させて――っていうのが特に好き。一番はまったのはモンスターファームかな。適当なディスクを入れたら、そのディスクの情報から適当なモンスターの幼生が生まれるというゲーム。凄く楽しかった。あと好きなのは動物の森。お手伝いをしたりしてお金を稼いで、家を豪華にしていくヤツ。一つのゲームを長く楽しむタイプだから(友達には延々と同じことをして楽しいのかと言われたことがある)あんまりゲームには詳しくないんだけど、戦国バサラを友達の家で一回プレイしたことがあってちょっとだけ知ってる。史実をまるっと無視した国取りゲーム……なんだよね、確か。店員さんが転生先はバサラですよって言ってたからきっとここはバサラの世界なんだと思う。ちょっと怖いかもなぁ。

 ところで、私はコンビニで念を買った。何で買ったかって言われると店員さんが「お勧めです、是非ご購入を!!」って言ったから。特に何かをしたくて買ったわけじゃないんだけど、何か発を決めて見るのも楽しいかも。それと向こうのバグで五歳児の姿で転生&親なし子になっちゃったからちょっと色を付けてくれたんだとか。どんなおまけをくれたのかは知らないけど悪いものじゃないと思う。――それはまあ横に置いといて。

 昨日生まれて早々寝たからか、朝早くに起きてしまった。まだ雀も鳴いてないし外も白んでさえいない。もしかするとまだ深夜かもしれない。二度寝はできそうにないし、念を目覚めさせられるか試してみよう。無理やり起こしてくれる人はいないから精神統一で。

 目を閉じて集中する。漫画とか小説とかを読んでると、だいたいが丹田がどうだのこうだのって言ってるから丹田に意識を集中させてみた。とたん体から力が抜けて脱力感が私を襲う。目を開ければ蒸気のようなものが私から上っていた。オーラだ。たしか血流と同じって考えれば良いんだよね。血流血流。オーラが収まらないまま、何時間も過ぎた――気がする。きっと一分も過ぎてないけど。困ってると障子がスパーン! と開いて小太郎さんが顔を真っ青にして部屋に駆けこんできた。


「螢様、どうなされました?!」


 どうなされましたって聞かれても、今の私に答える余裕なんてない。少し微笑んで見上げれば小太郎さんは泣きそうな顔をした。後ろに達太郎君もいるみたいだ。二人とも凄いな、オーラが全然漏れてない。念能力者でもないのにね。


「ああ、代わって差し上げることができぬのか……!」


 小太郎さんが力の入らない私の手を取り上げ、撫でてくれる。私は薄く目を閉じて集中することにした。このままじゃオーラの枯渇で死んじゃうから。


「達太郎」


 小太郎さんが言うと達太郎が水の入った桶と手ぬぐいをサッと差し出した。額にひんやりと冷たい布が乗る。気持ち良い。




 それから私は二時間くらいかけて纏を習得した。なかなか纏が出来なくてオーラの抜けすぎで死ぬんじゃないかと思ったけど、もしかしたらこのオーラ量が店員さんの付けてくれたおまけなのかもしれない。


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