木の葉丸 | ナノ






 『面倒くせー』。もしかして、ううん、もしかしなくても彼はシカマルではなかろうか。そうあって、そうあれ、そうあろうよ。まじまじと彼を見上げれば、お面を外してるから素顔(変化させてるんだろうけど)が見れた。気だるげな目つきにオールバックポニーテール。まんまだ。そのまんまだ! ただちょっと成長させただけでそのままシカマルだ!


「ほら食え」


 頭を使う仕事だからなのかシカマル(仮)は甘い物を何種類か常備してるみたいで、飴やらせんべいやらが入った袋を取り出して飴をくれた。黄色い。パクリと食べれば某国民的キャンディパ○ン飴だった。シカマル(仮)にパ○ン飴……。


「有難うございます」


 貼りついたまま頭を下げれば、シカマル(仮)は口の端をクイっと上げて微笑んだ。


「気にすんな。怖がらせちまってすまねーな、ちょっと紅狼にストレスぶつけただけだ」


 総長が。とシカマル(仮。面倒だからもう確定で良いや)が言って、私に総長に顔を向けるよう促した。怖いから嫌だ。


「怖くねーから、な?」

「うう……」


 そこまで言われたら見るしかないじゃないか。私はおずおずと総長だっていう怖い人を見た。金髪に青い目をした人で、なんだかカラー選択にデジャビュが。首に暗部面を下げててその面の柄は狐――狐?


「お兄、ちゃん……?」


 ナルトじゃね? もしかして私の萌え補給機ことスレナルじゃない? 総隊長スレナルキタ――!! 神様仏様三位一体のヤーウェ様、感謝します!! 世界は私のために回ってるんだよね分ります。ヤッフー!


「木の葉……もしかして、覚えて?」

「るーたんのお兄ちゃん!」

「木の葉!」


 ナルトの様子から、どうやら私のことを覚えててくれたらしいと分った。本当に神様有難う。シカマルの影から飛び出してナルトに抱きついた。










「るーたんのお兄ちゃん!」

「木の葉!」


 感極まった声で金狐、いや、ナルトが少女を呼ぶ。確か木の葉って名前の奴はこの里に一人しかいねー。三代目の孫だ。その孫とナルトが知り合い? それも『るーたん』って何だ。ナルトのルじゃねーだろーな。この性格破綻者にそんな可愛らしいあだ名があるはずがねぇ。きっと何かの間違いだ。


「おい……もしかして、知り合いだった、のか?」


 紅狼がかすれた声で訊ねた。紅狼、いや、サスケ。お前は勇者だ。実は今日テメーでストレス発散しようと思ってたが止めといてやる。


「木の葉はオレの大切な子だ」


 孫を腕の中に抱き込み胡坐の上に座らせ、ナルトはその真っ黒な頭に顎を乗せた。駄目だ、ナルト。それはどう見てもロリコンにしか見えねー。変化してると分っちゃいるが心が追い付かない。オレは顔を背けた。


「お兄ちゃんは暗部の総長だったんだね」

「まあな」


 どういった経緯で出会ったのかは知らねぇが、そのデロデロに甘い顔を止めろと言いたい。こんなに笑み崩れたナルトを見るのは初めてだ。ヤベェ、精神にクるな……。


「……ごゆっくり……」


 サスケがススス、と後ずさりし、ゆっくりと扉を閉めた。逃げやがってあの野郎後で覚えてろ。オレはこの場から離れるわけにはいかねーんだよ!

 オレはナルトの出て行けという目線を無視しながら書類に目を通し続けた。サスケ、テメーは絶対絞める。







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 シカマルがとっても可哀想な話。
04/17.2010

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