木の葉丸 | ナノ






 あれから八年が過ぎて、私は十歳になった。スレナルとは全然会えてない。私の萌えを返して!!


「ハッ!!」


 縄を巻いた木にクナイが突き刺さる。ちょうど人間なら心臓のあたりだ。巻物を読んだり自主トレをしたりしたからだいぶ忍者としての技術を身につけたと思う。ほぼ一人での修業だったから不安要素は沢山あるんだけどね。今度アスマのおっちゃんに修行付けてもらおう、そうしよう。アスマのおっちゃんに頼るのはなんだか肩肘張らなくて良くて楽だ。


「はー……」


 ため息を吐いて空を見上げた。今じゃナルトのことをお兄ちゃんと呼んでるんだけど、もしナルトが私のことを忘れてたら変に思うだろうなぁ。あーあ、せっかくのNARUTO世界だっていうのに主人公に会えずに八年ってどうですかよ。きっとナルトは仕事で私の面倒を見てたんだろうしなぁ、もう十年近くも昔のことだもん、忘れてるだろうな。


「あーあ……」


 空はこんなに青いのに、私の心は同じ青は青でもブルーの青だ。もうすぐ原作開始なんじゃないのかな、巻き込まれたいな、そう思うけど巻き込まれ方がさっぱり分らない。つまんないな。頭を振って思考を切り替える。こうぐだぐだと考えてもどうにかなるわけでなし、修行に集中しよう。――と、こっちに真っ直ぐ向かってくる気配を感じて身構えた。最近まとわりついてきて邪魔だと思ってたんだ、いい加減正体を晒してくれないもんかね? 気配を読むのと消すのは玄人裸足の私だぞ、隠してるつもりかもしれないけどバレバレです。ついでにこの二つを重点的に鍛えた理由は死なないため。死んだらキャラと絡むもなにもないもんね。

 私と相手のレベルの差は爪楊枝と割り箸くらい。向こうさんからすれば赤子の手を捻るようなもののはずだから、正面から戦って私が勝てる可能性は零%。でも、誰がストーカーしてるか確かめたかったんだ。



 それが運命のカラクリを再び回すものだとは、分かるはずもなかった……。










 つい数週間前だ、あいつを見つけたのは。どこにでもある道具の設置された修行場で十歳くらいの餓鬼が一人、鍛錬に励んでいた。ウチハのような黒髪に黒い目、汗を流しながら修行する姿にオレの姿がダブって見えたからかもしれねぇ、兄さんの顔が頭に浮かぶ。バカな兄さん……自分の部下が誰なのか、知らずにあんなことして、恨まれようとしやがって。ぜってー恨んでなんかやらねえからな。フと自嘲の笑みを浮かべ、向かう先の少女に集中する――身構えてる、だと? 誰かと組んで訓練してるのか? 気配を探るがここ半径五キロ以内にいるのはオレと少女と、隣接する鍛錬所で修行しているらしき数人のみ。途中で止まり、気付いた。彼女が身構えている原因は、オレだ……!

 まさかオレの気配に気付いていた? 始めから? まさか、いや、きっとそうに違いない。なにせオレが将来有望だと見出だした奴だ、気配を探るのはもしかするとナルト以上かもしれねぇな……。ニヤリと面の下で笑み、少女の前に降り立った。


「おい、餓鬼」


 強く――なりたくねぇか?










+++++++++

 まさかのサスケさん視点。原作沿いにしないと決めたので、ネタにUPしたのとは違う形で再会してもらうことにしました。ところで、携帯からの執筆には慣れてきましたが親指が痛いです。痛いよぅ
04/16.2010

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