木の葉丸 | ナノ






 三次元世界のお母さんお父さん。私は今、二次元世界で美味しい思いをしてます。なにせ、夢にまで見たNARUTOの主人公ナルトさんに世話されているのです! それもスレ設定で暗部ナルトさんなんだよ、嬉しさに涙出るよ。


「るーたん?」


 お昼寝から目覚めたらナルトさんの姿が見えなかった。起き上がって広い子供部屋を見回したけど、やっぱりいない。どこに行ったんだろ……何も言わずにどっか行くなんて珍しい。


「るーたんどこ? 木の葉おっきしたよ」


 ついでに言えば、私は今二歳。もっと小さい頃は、喃語をむにゃむにゃ言う時期をかっ飛ばして文章話してるのを見たナルトさんが何故か悲しそうな顔したから、頑張って喃語を操ったりしたよ。どうしてあんな顔したのか理由が分からないけど、とりあえず私が年齢不相応な行動をした時にああいった顔をするから幼児らしくしてる。私って良い子だねー。


「いないのー?」


 てか、さっきから呼んでるのに何で来てくんないのかな。ナルトさん忍者じゃなかったのかな。寂しいじゃないか、私が会える人間はお爺ちゃんとナルトさんとおじちゃんの三人だけなんだぞ、そのたった三人の中の一人だっていうのにさ……ナルトさんは私の子守り役でしょ?


「るーたん……」


 寂しいんだよ、早く帰って来て、ナルトさん。









 木の葉は他の子供に比べて成長が速い。身体的にじゃない、中身がだ。――もし、オレの中の九尾が原因だったら? これでも最小限にチャクラの放出を抑えているつもりだが、微かに漏れでるあいつのチャクラが木の葉の成長を無理強いしていたら……。オレはオレが許せない。

 木の葉が言葉を理解していると分かったのはオレが木の葉の世話を始めて三ヶ月が過ぎた頃のことで、街で石を投げつけられて怪我をしていたオレの血の跡を見るや「痛い」と言って泣き出したんだ。まだ不明瞭な発音で痛い、と言った木の葉にがく然とした。――木の葉は、単語の意味を解っている……。一歳にも満たない乳児が「他人の怪我を」痛いと泣くだろうか? 普通ならそれを認識することさえ不可能だ。


「るーたん……」


 だからオレは木の葉から離れる。暗部の存在は秘匿されるべきだからとジジイを説得して、木の葉には一般人の世話係りを付けてもらった。木の葉とは、会わない。そう決めて。


「るーたん、木の葉おっきした。るーたーん」


 オレは振り返らずに天井裏を離れた。










+++++++++

 副題「サヨナラも言わずに」。なんだか恰好つけてみました。哀れな勘違いでお別れの二人。とりあえずナルトさん(さん付けは暗部なんですと主張します)がシリアスなんですがどうしよう。
04/15.2010

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