木の葉丸 | ナノ



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 銀犬やこの数日の間に紫蓮と組んだ奴らからの報告書には、紫蓮が予想以上に使えることと、その不気味さが書かれていた。性格はそこら辺にいるいたって普通の女の子だと思ったんだが思い違いだったのか?――いや、思い違いのはずがねー。


「クフフ、今晩は」


 任務は受付係りが渡すんだが、渡される前にその日のマンセルの相手が掲示版に張り出されるからそれを見なくちゃなんねー。まだ新人で、また気配を探る以外に突出した能力のない紫蓮は当然の流れとして強い人間、つまり銀犬とかオレのような奴と組むことになる。オレは数日ぶりに外での仕事ということがあり心浮き立っていた。あの紫蓮――木の葉と一緒の任務だ、金狐が煩いが書類を溜めたあいつが悪い。紫蓮はオレが暗部控室に来て二分とせずに現れた。規定の時間の三十分前だから余裕をもって来ている方だ。中には数時間遅れても平気な奴がいることだしな。


「――あ、ああ。早いな」


 紫蓮は紫がかった寒色系の髪をして、頭頂部にふさを作った奇妙な髪形をしていた。アイスブルーの双眸は人を馬鹿にしているように感じられる。


「クフフ、時間には正確なんですよ、僕」


 怪しげな笑い声を漏らす紫蓮に、ほかの暗部たちは気味が悪いと言いたげな目を向けている。いや、実際そう思っているんだろう。たった数日でここまで気味悪がられる奴も珍しい。


「おやおや、今日は黒龍先輩とマンセルですか。嬉しいですねぇ」


 クフフフフ、と声を低めて笑うその姿はなるほど、気味が悪い。だがきっとこれは演技なんだろう。演技にしては完璧すぎるが、きっとこれも紫蓮の才能の一つだ。


「任務はこれだ、読んだら受付に返しておけ」


 オレが割り振った任務だ、オレが覚えていないはずがねえ。受付に渡すことなくオレが持っていた巻物を投げ渡せば、取り落とすことなく受け取り中身に目を走らせた。


「なるほど、早めに出た方が良いわけですね? ではすぐ出ましょう」


 増援が向かっていることが確実な、里抜けをした犯罪者集団の支部を壊すこと、一人の例外なく殺すこと。まだ数日目の紫蓮には荷が重いかもしれねーが、これが暗部だ。ぬるま湯につかっていられちゃ困るんだと金狐を怒鳴りつけてオレがペアになることで合意させた。あいつ本人が行きたがってたが、書類の山をどうにかしてから言うんだな。


「じゃあ行くか」


 頷く紫蓮を連れ闇夜を駆ける。










「黒龍先輩、南南西十五キロから二十五人来ています」

「ハァ? 二十五人だ? 一体どうやってそんだけ集めたんだかな」


 面倒くせー、と頭を掻く黒龍――スレシカに私が不謹慎ながら萌えた。スレシカも可愛い……! ありえん嫁に来てくださいスレナルと二人で。


「僕には知る由もありませんが、系統は土が十五、水五、風が五ですよ」

「何やってんだ砂……!」


 死体だらけのその場を浄化するため、特殊な炎を吐きだし燃やす。これは人体に含まれる酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リン、硫黄、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウム等などの配合物のみを探し出し燃やすというもので、生きている物には全く効かないけど生命活動を終えた物には効くという不思議な炎。人の死体だけじゃなくて虫の死骸とかも燃やしちゃうからこの炎を使った後は妙に綺麗になって分かりやすすぎるというのが難点。


「まあ仕方ねー! 紫蓮、自分の身くらい自分で守れ、良いな!」

「了解です」


 私はクスリと微笑んで黒龍さん――スレシカに従った。









このマンセル好きかも知れない^^スレナルひいきですがスレシカも同じくらい好き!
05/06.2010

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