木の葉丸 | ナノ



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 紫蓮って名前をもらって、暗部面ももらった。普通の暗部はこれで顔を隠すんだけど、変化の術を使ってる私は顔を見られても困らないから別にいらないんじゃないかって思う。でも金狐お兄ちゃんが付けてなさいって言ったから付けておこう。今の私は紫色かかった青い短髪を真ん中分けした――某パイナップルの姿になってる。理由? 紫と蓮の文字で真っ先に思い浮かんだから。キャラも作るよ。


「クフフ……」


 年齢は十代半ばくらいにしておいた。その方が「まだ子供だ」って油断させられて、逃げられる確率が上げるから。――まあ、こんな怪しげな子供に油断するかという問題もあるんだけど。


「紫蓮、その怪しげな笑い声をどうにかしろ」

「ああ、すみません。つい楽しくて」


 私が笑ってる理由はただ一つ! 初めての任務のパートナーが、銀犬ことカカシ先生だから。面付けててもすぐ分るよね、この人。


「よろしくお願いします」

「ああ、よろしく。君は索敵専門だって聞いたから主に索敵を務めてもらうけど、オレと行動を共にするってことは敵陣のど真ん中に突っ込むってことだから自分の身くらいは守ってね。ちょっと厳しいかもしんないけどそれがここだから、暗部だからね」

「分りました。ご指導よろしくお願いしますね、先輩」

「ん」


 今回の任務は巻物の回収。巻物を受け取り、奪われずに里へ持ち帰ること。単純な任務だから私たち二人だけなんだけど、その実あんまり楽でもない。火の国の上層部に関する情報が書かれた巻物だから他の里が狙ってるんだよね。密命が書かれたそれには当然大臣の拇印が押印されてて、奪われたらハンコを偽造される可能性が出てくる。他には出せない情報が詰まってるから絶対に盗まれちゃいけないのだ。











「四時方向七キロに三人、九時方向十キロに五人、一時方向七キロ半に四人。四時方向と一時方向は同じ里からの手ですね、風の質が強くチャクラの系統が似通っています。九時方向は水系統のチャクラですから別枠でしょう。このまま三キロ行く間に一時方向の方々に出会う可能性が高く、逃げるとすれば十一時方向が一番適当かと」

「じゃあそうしよっか」


 淡々と、でも怪しげな笑みを浮かべながら紫蓮は報告する。匂いで探るわけでもないのに、人数を正確にはじき出すこの気配察知能力の高さに自然と身ぶるいした。立ち止まって敵を迎え撃つわけではない、今は精神をすり減らして逃げているというのに、どうしてこれほどの精度の気配察知が可能なのか……。


「末恐ろしいねぇ」


 面の下のマスクに籠った声は紫の髪をした少年に届くことはなかったようだ。紫蓮が訊ねるような顔を向けてくるのに手を振って否定して、銀犬――畑カカシは先を急いだ。








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 ちょっと短いかなぁ、と思わなくもないです。
04/30.2010

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