火影はつらいよ編
木の葉は頭が良いと気づいたのはいつだったか……まだ言葉を操れぬ乳児であるというのに、こちらが呼べばくる返事にヒヤリとしたことが何度もある。まさかな、と思いつつ過ごして二年。ナルトが思い詰めた顔で世話係を下ろしてくれと言いにきた。どうやらナルトは自分が原因ではないかと思ったようじゃ。ナルトの使った言い訳には納得する点もあったし、わしはナルトを世話係から下ろした――。
木の葉の世話係としてナルトをあの子につけた時ナルトはまだ三歳で、暗部として働きたいと言ったナルトに汚れ仕事をさせとうなかったわしは孫の世話を命じた。火影のわしの孫じゃ、それも木の葉を守るべき両親がおらぬとなれば、この里を狙う者たちからすれば付け入りやすい隙であろう。渋るナルトを押し切って木の葉を押しつけたのじゃ。
「じぃちゃん、ご本!」
木の葉はあれから知識を得ることに貪欲じゃ。きっと偉い子にしていればナルトが帰ってくると思っているのじゃろう、わがままも言わんし好き嫌いもせん。祖父として嘆けば良いのか喜べば良いのか。たとえばわしが居なくなったとして、木の葉はここまでしてくれるかどうか。してくれんじゃろうなぁ……。
「ほいほい、どの本を読みたいんじゃ」
「コレ!」
木の葉はまだ幼い。そのうちナルトのことも忘れるじゃろう。――と、思っていたのじゃがなァ。
「私暗部に入る。お爺ちゃん許可ちょーだい」
「ジジイ、許可しろ」
「何故じゃ、何故じゃ木の葉ぁぁぁぁぁぁ!!」
ナルトが姫抱きにして連れてきた孫娘に涙が出る。満面の笑みを浮かべた木の葉の様子に、木の葉がナルトのことを忘れていなかったことを知った。初代様と次代様が使い、わしが引き継いだ火影の机を足蹴にするナルトには頭が痛いばかりじゃ。
「何故木の葉を入れねばならんのじゃ、木の葉を殺す気か金狐!」
「オレが守るから問題ないな。それにジジイだって木の葉の気配察知能力の高さは知ってるだろう」
「ぐっ!」
木の葉がどうしてか気配を探ることと消すことが上手いのは知っておる。わしは木の葉の様子を頻繁に水晶玉で確かめておるのじゃが、捕まえたと思ったら逃げられて困っておる。水晶玉越しの気配にも気づくのじゃから末恐ろしいことじゃ。
「木の葉には索敵だけを任せて危険な任務には参加させない」
だから許せ、と尊大に言われて肩を落とす。ええい、絶対ナルトには木の葉を嫁にやらんからな!
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絶対三代目は可愛い性格だと思うのです。 04/21.2010
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