待合室での出来事(√承太郎)



 メタ発言ですがお久しぶり、父親のしてる歯医者で不登校してる中学生女子です。本日もお日柄が悪く、ざあざあと雨が叩きつけるように降ってます、ハイ。

 ついこの間、ジョジョをボックス買いで三部まで揃えてしまった。文庫本版だから「あーんスト様が死んだ!」の絵葉書は載ってなかったけどね。くすん、美人薄命だ……お腹痛い。腹筋が痙攣する。

 自動扉が開く音と、外の叩きつけるような雨の音が室内に響いた。――そして入ってきた影に、私は目玉が零れるかと思った。


「予約していた空条承太郎だ」


 保険証を受け付けのお姉さんに渡す彼はどう見てもジョジョ三部の主人公です有難うございました。おいおいここの歯医者どうなってやがる。受付のお姉さんも、貴女オタクでしょ? ジョジョの話で一昨日盛り上がったばっかりだよね? なんでそう何事もなかったかのようにスルーできてるの?

 傘のサイズが小さかったのか、承太郎の肩はびしゃびしゃに濡れて見るからに重そうだ。タオルとハンガーを持って立ち上がる――実はこれ、この間雲雀さんにタオルを渡した時から、これが私の仕事になってしまったのだ。


「タオルとハンガーです。どうぞ」

「――ああ。すまねーな」


 近寄ると良く分る、承太郎のむつけき肉体。ヒソカより凄いんじゃなかろうか? なんて素敵なんだ! 私は筋肉太りした人に物凄く憧れてて、そういったキャラの出る漫画も好きだ。ベルセルクとか史上最強の弟子とか大好物で血湧き肉躍る筋肉にとてつもなく興奮する。良いよね筋肉。割れた腹筋とか盛り上がった胸筋とか唸る上腕二等筋とか……上げればキリがない。特に好きなのは、ぴったりとしたシャツを着たマッチョマンの下乳。胸筋の盛り上がりで出来る影にエロスを感じる。カーズ様みたいにモロ出しでも嬉しいけどね!

 え、変態? そうかもしれない。私は筋肉スキーだ。でもBLはファンタジーだから細身同士のカップルが好き。ヒバツナ絡めよぉ! あの修行は愛あるいじめなんだろぉ!!

 濡れて黒く染まった改造学ランを脱いだ承太郎は本当に素敵だ。承太郎がソファに座るとスプリングがぐぐっと沈む。体重半端ないね!

 それにしても、湿って貼りついたシャツがエロいです先生。目のやり場に困るというか視線を外さなきゃいけないことが悲しいと言うか。


「チビ。――お前のことだ、チビ」

「え、私?」


 チビだけどさ、まさか承太郎に呼ばれるとは思わないじゃん。ただ待合室で同じ空気を吸えるだけで幸せだって思ってたし!


「お前、ここには今までにも来たことがあるのか?」

「え、ええ。そうです」


 父親の歯科医院だし、もちろん何度かと言わず何十度も来てるけど?


「贔屓にしてた歯科医のジジイが引退したせいでな、アマ、じゃねぇお袋のかかりつけ歯科医を新しく探さねぇとならなくなった。お前から見てここの歯医者はどうなんだ」

「えっと……悪くないと思いますよ。以前までは虫歯になると削って金歯や銀歯にしてしまっていたんですが、最近だとなるべく削らずに治療するっていう方向に変わってて。それに、ここの歯医者は口内の虫歯菌を減らすっていう虫歯の原因を根絶するための治療もしてますし」


 過酸化水素水で口の中を殺菌するって方法なんだけど、この過酸化水素水を作る機械をお父さんが買ったんだよね。だから寝る前には必ず過酸化水素水でうがいさせられる。


「ほお」

「これからは病気になる前にどうにかするっていうのが主流らしいです」


 未病ってやつね。


「そうか。礼を言うぜ、チビ」


 巨体に似合う大きな手が私の頭をくしゃりと撫でた――顔にどんどん熱が上がっていくのが分る。だって、だってさ! この年齢になると撫でられるなんてことなくなるじゃん!? 硬い手のひらから伝わるぬくもりっていうの? きゅんきゅんする!!


「えと、実は私ここの娘で! 身内の欲目もあるとは思いますけど!! えっと……!」


 言葉が出ないのがもどかしい! ああもう!!

 名前が呼ばれ、承太郎が立ちあがる。その時にポンポンと頭を撫でられてもうどうしよう。

 どうしてくれようこのときめきを!!







+++++++++
 仗助でも素敵な展開になると思うけど、承太郎ルートを書いてみた。恋人にするなら仗助が一番優しくて、将来的に見ても平穏な生活を送れるのではないかと思う。承太郎だと六部が……うん。
2013.06.18

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