傍観ネタ(シェーマス7)



「リドル、君が?! 僕はてっきり――フィネガンが犯人だとばかり」


 ハリー・ポッターが口ごもりながらオレとリドルを見比べる。


「フィネガン、フィネガンね。フィネガン、君は頭が良い――僕くらいね。堅実で思慮深く、先見の明もある。君が望みさえすれば僕――ヴォルデモートはいつでも彼を受け入れるだろうね。でも犯人はフィネガンじゃない、僕だ。僕がやったんだ」


 リドルはクスリと笑み、ジニーを見下ろした。


「この馬鹿な女は入学してからずっと――いや、フィネガンに会うまでずっと僕に相談してたのさ。新しい環境に馴染めない、友達ができない、英雄ハリー・ポッターは友達の妹なだけの自分に興味を持ってくれるだろうか? フィネガンと会ってからは彼の話題ばかりになったけどね」


 オレがいることで原作に違いが出てきているが、まあそれはどうでも良い。大事なのは、何故オレが巻き込まれているか、だ。背後から攻撃され気を失ったと思えばこの部屋に連れ込まれていた。全く面倒なことを……。ジニー以外にオレがいるのを見たハリーが突っかかってきて本当に邪魔だった。


「リドルが――ヴォルデモート?」

「そう。僕の将来の姿こそ、闇の帝王ヴォルデモート卿」


 ハリーとリドルがどうでも良い話をしているのを無視してジニーのそばに膝を突く。リドルはジニーの『思いを書く』という行為を介して魔力を吸い取った。なら、何らかの方法でオレもジニーに魔力を与えることができるはずだ。――こういう時は童話に従うべきか? 王子って柄じゃないんだが、他にとっさに思いつくものがない。額で良いだろ額で。オレは魔力を乗せて額に口づけた。なんか魔力が抜けてってる気がするから成功か? ジニーの顔に赤みが差した。死人にようだった顔に生気が戻る。とりあえず応急処置はこれで良いだろ。


「ふぃ、っふぃ、フィネガン! 君、ジニーにキスした!」

「? それがどうかしたのか?」

「――考えたね。君には脱帽するよ、まさかそんなに早く対処法を見つけるなんて!」

「ど、どういうことさ!」

「分からないかい? 彼はキスしてジニーに魔力を分けたんだよ」


 原作からすごく離れて行っている気がするが良いのだろうか。そういえば去年もスネイプ教授とオレを犯人だと決めつけて行動してくれたからな、この馬鹿は。いけ好かない野郎は悪い奴だとか思ってるんじゃないだろうな。陰険な人間が悪ならこの世には悪が蔓延ってるっての。


「ジニーは魔力を失いすぎて死にかけている。なら、魔力を供給してやれば問題ない」


 血液みたいなもんだろ。


「ふふふ、君が本当に欲しくなったよフィネガン! そのためにはハリー・ポッター! 君が邪魔だ!!」


 なんか原作に沿ってるような沿ってないような。まあ細かいことを気にしてたらストレスで倒れるだろう、気にしないに限るな。で、バジリスクが登場してフォークスがやってきて、可哀想な毒蛇は人間の勝手のせいで死んだ。ジニーの一人や二人運ぶのなんざ浮遊魔法でなんとかなる。フォークスにつかまって不安定に飛行するよりこっちのほうが安全だとうとそうやって帰ったら、ハリー・ポッターに睨まれた。睨まれる理由が分からん。

 ついでに、帰還した後オレを疑ったことを謝罪させるのと同時にスネイプ教授にも頭を下げるように言った。どうやらこの馬鹿はオレとスネイプ教授がタッグを組んでホグワーツを壊滅に追い込もうとしてると勘違いしてたらしいからな。渋々頭を下げているハリーをニヤニヤと見下ろしてる教授を見て、もう少し人当たり良くすればこの人もここまで勘違いされずに済んだんじゃないかと考え、人のことを言える立場じゃないと思いだした。








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 秘密の部屋の終盤編。なんだかグダグダな感じがするのですが気にしない!
04/28.2010

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