赤ちゃんとボク22
集合地点に時間内に着いたのは十名。オレはもちろんだけど、クラピカ、レオリオが残ってんのは驚きだった。ゴンは通るだろうなって思ってた。
職員のおねーさんがプレートを確認しに来て、あのヒソカとリンネの番になった。面倒くさそうにヒソカがプレートを出し――なんで五枚あるわけ? 二枚か四枚か六枚が合格なんだから、五枚ってのはおかしい。
「四十四番ヒソカ様、合格ですね」
だけど、職員がそう言った瞬間ヒソカが驚いた様子で口を開いた。
「どういうことだい?」
「ヒソカ様は80、281、384、405、406の六枚で七点です……あ、あの……何か問題が……?」
五枚で七点ってことはつまり、多めに取ってたってことか。でもなんで驚く要素があるんだ?
「まさか、リンネ!」
ヒソカは眉間にぐっと皺を寄せたと思えば、斜め後ろに立つリンネを振り返った。リンネは視線を空にやってヒソカの顔を見ないようにしてる。
「リンネ、キミのプレートをボクのと入れ替えたね?」
リンネは顔を背けたまま「ウン」と頷く。視線を合わせられないことをしたようには見えないんだけど……つまり、ポイントが足りなかった父親を合格させるためにプレートをこっそり入れ替えたってことだろ? 父親想いのイイ奴ってことじゃん。
ヒソカがリンネの顎に手をかけて振り向かせる。照れてんだろう、ヒソカの顔を見れないらしいリンネは目を伏せてる。睫毛長いな。
「ボクはリンネが受かれば良いと思ってたんだ☆」
「……ウン」
「何かボクに言うことがあるだろ?」
「ごめんなさい、パパ」
「うん。でもリンネの気持ちは凄く嬉しかったよ☆」
リンネの頭を撫でるヒソカは本当に父親に見える。見えるんだけど、こんな場所で麗しき親子愛劇場をされたくはなかった。コラこんなトコでちゅーすんな。
その様子を羨ましそうにモヒカンの男が見てるのに気が付いて、なんか吐き気がした。
「二人って凄く仲が良い親子なんだね」
ゴンが二人の様子を見ながらそう言った。だけどオレは首を横に振る。
「『凄く仲が良い』程度なんだかな」
あれじゃまるで恋人同士だ。
「行きすぎた家族愛って言うには限度があるだろ」
「そう? でもお互いにそう言う目で見てるようには見えないけど」
「お前、もしかしてソッチ方面の経験あんの!?」
どうしよう、ゴンが大人だ。見た目は無邪気っつーか純粋培養って感じがするのに、そういう目かそういう目じゃないか分るとか、どうなんだよ。どんな育ち方すれば十二歳でその判断ができるんだよ。
「ううん、ミトさんがオレにはまだ早いって」
「そりゃそうだ」
「でもデートなら何度もしたことあるよ」
「マジかよ」
ゴンの笑顔が真っ直ぐ見れなくなった。
+++++++++ というわけで、前話で言った通り原作沿いですよ。 10/17.2012
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