臨死憑依記3
いつの間にか気を失ってたらしくて、目覚めれば真っ白な病室だった。おいいいいいババアジジイィィィィィ!! 可愛い娘が入院してんだ、こういう時はベッドの横に座って手を握ってるのが常識じゃねぇのか?! 目覚めと共に「起きたのね××!」とか「よく頑張ったな!」とか言うべきだろ?! それと私の腹痛を軽く流したこと謝れ! 陣痛と気のせいって何だ、特に陣痛! 私がいつ身籠った、そんな相手がいたことさえないわ!
「おーい」
水分不足で掠れきった声を上げる。返事がない、ただの屍のようだ――誰が?
「あ、ナースコールか」
もぞもぞと点滴の刺さってない方の腕を動かして頭上を探る。ない。なんでだ。私ん家の近くの病院のどれかだと思うけど、コールボタンがないとは何事か。仕方ないから身を起こして――気付いた。あっれ……私の髪、長くね? それに赤い。染めた覚え皆無なんだけど。ストレスで白髪化ってのは聞いたことあるけど赤髪化はないわー。
「――んー?」
とりあえず髪が赤いのはおいといて、ナースコールはないのかと壁を上下に見たら、どうやらネームプレートらしき白い札が枠に嵌められてた。「うずまきクシナ」。
どういうこった。なんで某忍者活劇漫画の主人公――の、母親の名前がかかってるんだ?
手を見つめ、握ってたり開いたりした。指が心持ち長い気がする。それと肌が白い。髪を摘まんでみた。一体どんなエステに行けばここまでつやっつやのさらっさらになるのか是非ともご教授頂きたいところだ。
「うずまきクシナ、ねぇ」
これはもしかして、もしかする?
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こんな夢主もいて良いんじゃないかしら、と言い訳してみる。04/27.2010
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