臨死憑依記2



 クシナ様は心肺停止し、お亡くなりになったはずだった。だというのに。


「ミナト……ナルト、待って」


 酷くのったりとした動きで腕を上げ、クシナ様は夫と我が子を呼んだ。鈴を鳴らすようだった声は枯れて掠れ、浮かべる表情も疲労の色が濃い。まさか――そんな。我が子への愛がクシナ様を死の淵から救ったとでも言うのだろうか? 私は確かに――確かに彼女の死を確認したというのに。


「クシナ様が、クシナ様が息を……!」


 横で看護士が歓声を上げ、渇いた口を潤すため水差しを口へ差し入れる。私は――奇跡を見たのだろうか? 九尾の狐により死が撒き散らされるすぐ傍で、愛の力によって一人が息を吹き返した。


「神よ……」


 感謝します。私は床に座り込み、膝の間に顔を埋めて喜びを噛み締めた。




 その一時間足らず後、九尾は四代目様とクシナ様のお子、ナルト様に封印された。四代目様の命と引き換えに……。






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こんな勘違い夢は如何かしらん?
04/26.2010


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