ウォンカ!4
試験中ということもあり会話という会話もできないままメンチちゃんとは別れ、ヒソカやギタラクルと三人で待っていた。どんな試験の内容かは覚えているから気楽な私とは違い、二人は何が出るのかと少し身構えている。
あたしのメニューはスシ! とメンチちゃんが宣言し、受験者の中から疑問の声が広がる――スシって何だ、と。
「ギタラクルはスシって知ってるかい?」
「いや……」
「そっか。リリーなら知ってそうだね」
「ええ、大好物でtwice a monthジャポンへ飛ぶわ」
元々繊細な味付けを好む日本料理。その創作和食屋から本格的な老舗料理屋まで色々と巡る私の舌は、美食ハンターに負けず劣らず肥えている。試験が終わったら連れて行ってあげようかしら?
「スシっていうのはね、usually魚介類を長方形に切ったものを、一口サイズに握ったスシ飯の上に乗せたものよ。シンプルが故に作り手のレベルがすぐに分かる料理と言えるわ。握りが甘ければ箸で摘めず、握りすぎればin mouthでほどけない――絶妙な力加減が必要なの。切り身だってvery different pointだわ。脂の乗っていて、すぐに飲み込んでしまえるように切らなくちゃダメ」
二人を誘って外へ出て、川へ向かいながら解説をする。まだ魚を捕りに出てくる者はいないから声を抑えることなく話した。
「聞くからに難しそうだね☆」
「Naturally。熟練するには十年は必要だもの。でもね、私たちは素人なんだし、無理に魚をchoiceしなくても良いのよ」
「どういうこと?」
ギタラクルがコテンと首を傾げた。普段の顔でなら可愛いその動作は、その犯罪的な顔では残念でしかないわ。ちょっと気色悪い。
「シャリに乗せるのをタネと言うわ。そのタネは何も魚だけを指すわけじゃないのよ。Mainly魚というだけなの」
たとえば、今さっき狩ったグレイトスタンプ。例えばここからしばらく走ったところにあるクモワシの卵。そして。
「チャーリー、有難う」
ちょうどその時、鞄から出て川に潜っていたチャーリーが差し出したのは蟹と海老。蟹の腕は直径二センチほどで、生態系の狂っているこの森の中ではかなり小さいものだった。
「蟹と海老?」
「そう。あくまで魚介類ということに拘るなら、蟹や海老を蒸したものを乗せても良いの。もちろんrare(生)でも良いけど、ここは川だからvirusが怖いわ」
私たち念能力者の足をもってすれば、クモワシの卵なんて十分で取ってくることができるわ。クモワシのだし巻き卵なんていうのも美味しいわよね。
「ヒソカはどうするの? ギタラクルは料理なんてできないでしょうから私が作るつもりだけど」
「ンー、とりあえず作り方を横で見せてくれるかい?」
「Of course、自分でできるならしようとするそのheartは素晴らしいわ」
「もっと褒めて☆」
「偉いわね、ヒソカ」
何故かギタラクルが憮然とした表情になったけど、どうしてかしら。
「行きましょうか、魚を使うと知った人たちがこっちに向かってくるわ」
『魚ぁー!?』という大声が会場から聞こえた。そろそろ戻らないとね。メンチちゃんが満腹になる前にヒソカを合格にしてあげたいし。
+++++++++ やっと書けた……。全然テンションが上がらず、書けそうなのを絞り出した感じ。知り合いの寿司屋、潰れてからもう三年かそこらか(´・ω・`) 2012/05/23
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