零崎色識の色彩観察



ネタもどきに書いた奈々主(非夢。でも名前変換ないのが非夢ならネタはほぼ非夢orz)のお試し版プロローグ。ついでに零崎シリーズはこの十二月に買います。手元にないと無理。

















 家光さんと出会って結婚して、家を建てた町の名前が並盛で、生んだ子供に家光さんは綱吉と名付けた。――あら? おかしいわね、どうしてか聞き覚えがあるわ。


「ツっ君、もうすぐパパが帰ってくるわよ!」

「そーなの?」


 気が弱くて人見知りで、でもママの私に全身で甘えてくる可愛い我が子。抱き上げて顔を覗き込めば『パパ』が何か分かってないみたい。まだちっちゃいし仕方ないかな?

 久しぶりに出張から帰ってくる家光さんの帰宅があんまり嬉しくて料理を作りすぎちゃったけど、きっと家光さんなら食べきってくれるから大丈夫よね! 仕事先の社長さんもいらっしゃるそうだし問題ないわ、きっと。ああ、早く帰ってこないかしら。

 ツっ君を抱いたままクルクルと回っていたら車のエンジン音の後チャイムが鳴った。


「なっなぁ――ん! 愛しのダーリンが帰ったぜぇー!」

「あなた!」


 ツっ君を下ろし、手を引いて玄関へ向かう。抱きつけば顔中にキスが落とされる。もう、情熱的なんだから……。恥ずかしくて頬を染めたら力強く抱きしめられて胸がときめいた。やだ、社長さんの前なのに恥ずかしい人っ!


「ママ、この人だれ……?」

「あらまあツっ君、この人があなたのパパよ」


 上がりがまちにぽつねんと立ったツっ君は寂しそうな声で私に訊ねた。長い出張に続く出張だから顔を覚えてなかったのね。



「ツナぁー! パパだよん、いいこにしてまちたかーん!?」


 家光さんは私を解放すると今度はツナに突進し、ツナに避けられていた。あらまあ。


「こんにちは、私はティモッテオ。家光君をいつも借りたままですまないね」

「あらまあ社長さんですね? いえいえ、こちらこそ家光がお世話になっています」


 軽く頭を下げて挨拶されたのはアロハシャツの優しそうなご老人で、横にお孫さんかしら、目つきが鋭くて格好良い男の子を連れていた。


「こっちは息子のザンザスだよ。空港で連絡したが、本当にご相伴に預かってもよろしいのかな?」

「いいえぇ、来られると聞いてつい作りすぎちゃったくらいですもの。どうぞお上がりになってくださいな。ザンザス君も」


 息子さんだったのね。ならティモッテオさんは見た目よりも若くていらっしゃるのかしら? まあ気にしたらダメね。


「――あ、ああ」


 ザンザス君が何故かぼんやりした顔で頷いた。クールで格好良い子だからきっと学校じゃモテモテね。うちのツっ君も年頃になったらこんなに格好良くなるのかしら……うーん、想像できないわ。


「なあ、あんたは……」


 私に声をかけようとして困った様子のザンザス君に大事なことを思い出した。


「ああごめんなさい。私は奈々といいます。よろしくお願いしますね」

「ああ。ナナは家光の娘なのか?」


 ザンザス君の質問を聞いてティモッテオさんが横で笑いだした。どういうことかしら?


「いいえ? 家光の妻で、ツっ君の――綱吉の母ですよ?」

「嘘だろ……」

「え? えっと?」


 ザンザス君が頭を抱えてしゃがみ込んだ。どうしたのかしら……頭痛かしら。お薬を保ってきた方が良いかもしれないわね。


「頭痛いの? 今鎮痛薬を――」

「いや、いらないよナナさん。ザンザスはちょっとショックを受けただけだからね」


 ティモッテオさんは心配無用と手を振ったけど、やっぱり心配だわ。


「ザンザス君大丈夫?」

「ナナ、今すぐ離婚しろ」

「はい?」


 ザンザス君ががばりと顔を上げたと思えば、彼はそんなことを言い出した。まだ結婚四年目のピチピチなんだけど……。


「まだナナには未来があるが、家光にはない。若いうちにさっさと離婚してしまった方が良い」

「ちょっザンザスお前何言ってんの!? ねえ何言ってんの!?」


 家光さんが目を剥いてザンザス君に迫ったけどザンザス君はどこ吹く風と聞き流し、私の手を握った。


「こんなロリコンと付き合っていたら駄目だ。自分の年齢に見合った男を見つけろ、ナナ」

「まあ……」


 整った造作の美青年に若いと言われて頬が赤くなった。ザンザス君がいくつなのかは知らないけどきっとまだ十代よね? 私もまだ二十三だけど、若いって言われると嬉しいわ。


「気持ちは嬉しいけど、私にはもう子供が……」

「お前なら次の男がすぐに見つかる。大丈夫だ――この性犯罪者はオレが責任を持って処分しておく」

「なんで夫の前で火サスが始まるんだよ!? ザンザスてめぇ堂々と殺人予告しやがって!!」

「はっはっは、ザンザスもジョークが上手くなったね」


 家光さんは私の手をザンザス君から奪うと私を抱きしめ、キシャー! と彼を威嚇した。


「あ、あなた……」


 ここは私のために争わないでっていうべきシーンなのかしら。……嫌だわ私、まるで少女漫画みたいな展開にときめいちゃってるみたい。漫画みたいなことが現実にあるわけないのに、勝手にそう思い込んでるだけよね。

 ツっ君がこの状態をどう見たかなんて、その時の私は知りもしなかったわ。









 きのう、パパとかいうのが帰ってきた。その『パパ』は、ぼくのめのまえでママを食べようとした! ザンくんとティモじいちゃんが止めなかったら、きっと、『パパ』はママを頭からムシャムシャ食べちゃってた。ザンくんにはありがとうっていった。ママが、人がうれしいことをしてくれたら、ありがとうって言うのよって言ってたから。

 ぼくはおうちの中を大きなかおで歩きまわる『パパ』がきらいだ。ママはきっと、ぼくが『パパ』に食べられないように『パパ』をみはってるんだ。ザンくんはぼくのみかたで、あくのてさきの『パパ』をおいだすてつだいをしてくれるって。ナイフとかじゅうかきとか、ザンくんにたのんだらなんでもくれるんだって! ザンくん大好き、ありがとうっていったら、ザンくんがこれからママをまもってやろうかって言った。ママはぼくが守るからいらないよ! だってぼくは――オレは、零崎だからね!

 でも零崎でありながらオレは零崎じゃない。家賊も大事だけど、オレにとっては家族も大事だから。ま、その家族も母さんのことだけを指すんだけどね。














+++++++++
後でネタにも設定をアップしよう、うん。
視点は奈々主とツナが半々くらいの予定で、奈々主から見た裏の方々とツナ(や某蒼い人や戯言使いやセーラー服にときめいてるみなさん)から見た奈々を描いていこうかなぁと。
11/29.2011

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