いらはいto烈火6



 森光蘭直属の兵として、また娘として育てられた私は現在、とても特殊な立場にある。麗という組織としては私は身内の敵から送られてきた監視役であり、自由な行動は制限しないといけない癌みたいな存在。だけど個人という点で見れば、私は紅麗の遺伝子を使って生まれた娘(紅麗がそれを知ってるのかは知らないけど)であり、光蘭の魔手から逃れ得た掌中の玉。だから麗のみんなが私が光蘭に呼び出されては仕事をしているのを苦々しく思ってるのを知ってる。


「あ、電話」


 小金井が彼らと遊ぼうと構えた瞬間、ポケットの携帯電話が震えた。通話ボタンを押して耳に当てれば森光蘭からの呼び出しだった。いつものお仕事だ。


「小金井、私お仕事は行ったから行くね」

「分かった。怪我しないようにね」

「うん」


 小金井を置いて部屋を出る。この屋敷には数か月いたから、どこをどう行けば良いかはよく知ってる。紅麗にメールを入れてから屋上に上がり、迎えに来たヘリに乗り込んだ。先に乗っていた少年の顔を見て少し肩が揺れる。――胸に十七号って刺繍してあるってことは七号なんだろう。私が紅麗の元に行ってから生まれた子なんだろうな。

 女の腹を借りて私が無事生まれてきたせいか、私の後に何人もの失敗作が生まれては消費されていった。研究所で産まれた子供に人権なんてないし、森光蘭への忠誠心を植え付ける洗脳教育を施されて自我のない兵士になって死んでいく。そんな森光蘭の側にいた私は何人ものそれを見てきた。奇形児だったため生まれる前に殺された一号、虚弱体質で養殖容器から出られないまま死んでしまった二号、自立歩行することができず処分された三号、暗殺者として育てられ死んでいった四号。みんな紅麗の血を引いているから顔が似てて、私の血縁でもあって。私が彼らにしてあげられることは苦しまないよう殺してあげることだけだから、一号と三号は私が殺した。

 森光蘭の付き添いがなくても、私には研究所を出入りする許可が降りている。今回はその研究所の職員を殺せという命令で、所内の極秘情報をこっそりメモリーカードに移している姿が監視カメラに映っていたらしい。何のために盗んだのか理由は知らないけど、私に下されたのは抹殺命令。


「書類」

「どうぞ、蒼薇様」


 座ってすぐ手を出せば十七号に書類を手渡された。斜め読みして顔と名前を覚える。ごく普通の顔の男で、突出して正義感がありそうだとか悪の道へ走ってそうとかいった印象は受けない。まあ良い、私はこの男を殺せば良いんだ。それを知ってればそれで良い。


「蒼薇様、もう良いのですか」

「名前と顔さえ分かれば大丈夫」


 十七号の言葉に答えて、背もたれに体重をかけた。あと数時間もすればこの屋敷は炎上する――書類を窓の外に放り捨てる。


「行こう」


 ヘリは前のめりになりながら空へ舞いあがった。














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 なぎさ様リク、二周年記念(とりあえずリクされたら書ける順に書いてみよう)その1。
2011/10/21

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