闘え。さらば与えられん(試作版)



前提設定:夢主とマチが同居している。夢主→→→→(←)マチの状態で、ツンデレどころかツンドラ。夢主M、マチS。痛いのが好きなんじゃない、マチがする行為が全て愛しいんだ! おザンプ的ラブコメ展開。
では、どうぞ↓













 突然だが、オレの同居人・マチは可愛い。顔をしかめていても可愛いし、笑ってたらもちろん可愛い。ちょっと肉体言語に訴えてくることがあるけど許容範囲内だ。マゾかって? そりゃMだろうな、マチ限定の。


「ただいまぁ――マチ? いないのか?」


 頼まれた買い物を終えて帰宅した俺を迎えたのは沈黙で、もしかしてどこかに出掛けたのだろうかと俺は首を傾げた。俺が出た後に必要なものがでかとか――は無いな。それなら電話すりゃ済む話だし。マチ用の着メロ設定をしてる俺が彼女からの電話やメールに気づかないはずがない。散歩か、それとも急ぎの用事が入ったか。

 食材が入ったエコバッグをダイニングのテーブルに乗せる。テーブルがメキメキいってる気がしないでもないが、いつものことだから問題ない。牛乳とか生物は冷蔵庫に突っ込んで、あとは棚に置いといた。オレってなんか主夫じゃね? 近頃流行りの主夫じゃね? 共働きの奥さんの負担を肩代わりするとか、女の子が憧れる理想の旦那さん像だろ。マチがオレの魅力に気づいて「毎日私のために味噌汁を作ってくれ」とか言ってくれたらこれ以上ないんだけどな。同じ職場の可愛い奥さんと兼業主夫のオレ。幸せ家族だな。

 今度の仕事であるヨークシンまであと二ヶ月近くある。その間にマチとの仲を深いものにできたら良いなぁ。マチはツンデレっつーかツンドラだから、「目指せ甘い雰囲気!」計画のためにはこの二ヶ月弱が重要。マチには頼りがいがある素敵な旦那さんアピールをしまくるつもりだ。

 夏は始まったばかりとはいえ、暑いものは暑い。汗を流そうと脱衣所の扉を開ければ風呂場から水音が聞こえてきた。風呂掃除してくれてんのかな? 普段は男勝りだがマチはそういう点で女らしい。ギャップにキュンとくるよな。


「ただいまー、風呂洗ってんのか?」


 ガララ、と引き戸を引いた――ら。


「……リッド」

「なんていうかごめんなさい」


 シャワーを浴びて艶やかなマチが、タオルも巻かない裸体を晒していた。小ぶりながらたゆんと揺れる胸に締まった腹、すらりと伸びる細い脚。鼻が熱くなって情熱が噴き出す。手で抑えるけど隙間から零れるのはどうにもならん。


「なら、さっさと扉を閉めろ、こんの阿呆ッ!!」


 扉を閉めることもせずたち惚けたオレは、マチに殴られ脱衣所から追い出された。

 マチには申し訳ないが、あれで一週間は生きていける。









試作版。
2011/10/17


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