Pink sky!7
ザンザスに争奪戦には来るなと言われて数日、晴、雷、嵐、雨が終わり次は霧戦だという。マーモンが私も連れていくべきだと主張したおかげでやっと観戦できることになり、私はザンザスにぶら下げられて並森中学体育館へ連行された。支えがないから横にブラブラ揺れて苦しい。
「ザンザス、苦しい」
「我慢しろ」
体育館に着くや、一メートルほど床より高い舞台上に飾り細工に金がかかっていること間違いない椅子が用意されているのが目に入った。あれに座るつもりか……。一般の公立中学の体育館には違和感がありすぎる。細かいことを気にしないのがヴァリアークオリティなんだろうか。
そして綱吉組も集まり、犬と千種を引き連れたクローム髑髏が現れる。「クフフフフ、クフフフフフ……Lo nego Il mio nome e’Chrome――Chrome髑髏」とかって怪しい笑い声と自己紹介をしたけど、クロームのキャラに全く合っていないと思う。あの部分だけ骸が言ったんだろうか? そういえばここ二か月ほど骸と会ってないなぁ。と、自分の考え事に集中していたせいで試合が始まっていたことに気が付かなかった。
「よかったよ、ある程度の相手で。これで思う存分あれを使える……あの間抜けチビ二人の前でね。ファンタズマ、いこう」
マーモンが封印を解き本当の力を解放した。あのトカゲだかカエルだかでしかマーモンが誰なのか判断できないのはどうかと思うよ、アルコバレーノ……。しゃべり方も見た目も能力も一緒なのに。
「どうして同じアルコバレーノだと分からなかったんだろうね」
「さあな」
「二足歩行する乳児が他にもいるなら教えてほしいね」
「見つかった途端研究所行きだろうがな」
そうこう話しているうちにマーモン――バイパーと呼んだ方が良いのだろうか――はクロームの持つ三叉槍を破壊した。クロームの腹部が見る間に沈み、ゴホリと血を吐く。極端な断食ダイエットをした人みたいで気色悪いと感じるのは仕方ないと思う。
そしてクロームの体を霧が包み、どこからか可愛い僕のクロームなどという声が聞こえてくる。マーモンは女の幻術士に良くあることだと吐き捨て、もう試合は終わったとばかりに気を抜いた。
その気の緩みがそれ以降の試合に響いたんだろうか? マーモンは骸の趣味が悪い蓮にやられて爆発した。かなりみっともないというか……試合は諦めたら終了だけど気が抜けても終了なんだということが良く分かった。人のふり見て我がふり直せってことだね。
「クフフ……まったく君はマフィアの闇そのものですね、XANXUS。君の考えている恐ろしい企ては僕ですら畏怖の念を抱きますよ。なに、その話に首を突っ込む気はありませんよ、僕はいい人間ではないのでね。――ただ一つ。君より小さく弱いもう一人の後継者を、あまりもてあそばないほうがいい」
試合中ずっと暇だったザンザスに対して骸はそう話しかけた。
「あと、君がこの場にいるということは彼女も目覚めていると考えて良いのでしょうか。もしや――その膝の上にいるのが?」
「二か月ぶりだね、骸」
「知り合いか?」
「寝ている間話し相手になってくれたんだよ。だからザンザスよりも長い付き合いだね」
「もし君が霧の守護者として現れていたら、きっと僕の勝利はなかったでしょう。もしヴァリアーに愛想が尽きたらいつでも歓迎しますよ」
にこやかに話す骸の姿を見て、綱吉以下並盛十代目候補チームは騒然となった。
「どういうことだよ、骸!? その人は敵なんだろ!?」
「怪しいとは思っていたが、やっぱりテメーは敵だったんだな!」
「説明しろ」
リボーンも眉間に皺を寄せているのを見るに、家光は私について全く話していないようだ。
「クフフ……すぐに白日の下に晒されることでしょう。九代目ティモッテオと門外顧問沢田家光の犯した、許されざる罪の全ては」
ではまた夢で会いましょうとやけににこやかな骸が手を振る姿に手を上げるだけで留め、まだ納得しきれていない様子の並盛組を尻目に仮アジトへ帰った。
マーモン、きっと格好良いところ見せたかったんだろうな。私には二番目に多く霧の波動が流れているし、幻術士としての才能も群を抜いている。先輩として格好良いところを見せようとしてアレなんだからナンと言うかカンと言うか。
そのあとすぐ力の使い過ぎで弱ったマーモンが霧部隊によって発見され、鳥籠に詰められてモスカの手にぶら下げられた。
「おかえり、マーモン」
「ああ、ただいま。でも数日中にまたさよならすることになりそうだね、現世から」
マーモンは負けたことが悔しかったのか私に格好良いところを見せられなかったことが悔しかったのかそれとも両方か、私と話して早々ふて寝した。
次って何戦だっけか。雲?
+++++++++ 間にまんまみーあ挟んだせいでキャラが迷走しかけた 2011/10/06
- 391/511 -
*前|目次|次#
レビュー・0件
|