髑髏君の可哀想な毎日1
オレの名前は凪、名字は気にしない方向で。目はクリクリと大きく、頬は薄く色づいて白桃のよう。細い手足はすらりと長く、見た目は薄幸の美少女だ。
赤ん坊の時はスラスラと話したら不気味な子供と思われそうだったので、なるべくしゃべるまいしゃべるまいと口を噤んでいたら滑舌が悪くなった。それに加え表情筋も動かさなかったのでほぼ無表情――逆に親に見放されました。笑いもしない子、と。オレだって笑う時には笑います、ただ表情が伴わないだけで。……不気味か。
と、そんなオレは運悪く交通事故に遭った。転生してからこちら、頑張ればどうにかなる世界だと知っているオレはとっても運動を頑張った。足の速さでは世界大会に出られそうなくらいだし、ボールを投げれば剛速球、棒を振り回せば軽傷じゃ済まない(相手が)。そんな素晴らしい運動能力を持ったオレだが、流石に車には負ける。勝てるとしたらもうそれは人類の枷を超えてると思う。
手を離してしまった風船を追いかけて車道に出た幼児を助けようと飛び出したが、子供を突き飛ばしたは良いもののオレが轢かれた。砂を積んだ5トントラックに弾き飛ばされ塀に叩きつけられ、内臓破裂。あぼん。
そして気が付くと草原の真ん中で一人、ベッドに横たわっていたわけだ。
「……だ、れ?」
人の気配がして振り返れば、特徴的すぎる髪型の少年が立っていた。――やっぱりか。 オレの名前は凪。性別は男。前世で死ぬ間際に「異性から好かれまくってウハウハ☆な来世を送りたいです」と願った結果何故か男としてクローム髑髏に転生。だというのに主人公ズは原作のままで、もしやこれはBLへの道を突き進めということかと愕然とした。
「クフフ……散歩をしてみれば、良い見つけものをしました」
骸はクツクツと笑いながらオレに近寄り、サイドに立つとオレの顎をクイと持ち上げた。
「僕の名前は骸。六道骸です」
「あ……オ、わた……」
オレって言いかけて慌てて言い直した。と言っても、ボソボソとしか言えないんだが。
「貴方には新しい名前を上げましょう。……クローム。貴方はこれからクローム髑髏です」
話そうとして舌を噛んだオレを見て何を勘違いしたのかは知らないが、骸はそう言ってきた。一体どんな思いこみがなされたのか問い質したいところだ。
「これから僕と貴方は姉妹ですよ。お姉様と呼んでください」
……ほわっ?
「あ、の」
「ほら、お姉様って呼んでください」
「わたし、男……」
「男?」
骸の目がオレの下半身を見て、掴んだ!
「おや、本当ですね。ではこれからは姉弟ですね。僕の可愛いクローム」
「お、お姉、様」
なんだかおかしな方向に行ってる気がするんだけど……泣きたい。
「クフフフフ、可愛い弟が出来て嬉しいですよ」
オレの頬を撫でる骸に生ぬるい気持ちになる。――ってか、お姉様? お兄様じゃなくて?
もしかして骸、女!?
+++++++++ 骸との出会い編。小説版を持っていないので出会い編は妄想でカバー。 08.11/2011
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