白い悪魔の子



 ほら、あるじゃん? 前世の知識使って俺スゲー! ってする二次創作。あれってさぁ、親の協力がないとどうにもできないんだよね。平民スタートで貧乏だとしても、親さえ協力してくれたらどうにかできる余地があるし。

 でも俺の今生の両親は非協力的で、アルビノとして生まれた俺のすることなすことに批判的だった。日光が痛いしで家に引きこもってれば喜ぶけど。俺の現代知識はあっていないもの……どころか、俺の異常性を助長し、村のみんなを怖がらせるばかりだった。

 だからだろうな、俺は神に捧げられることが決められた。名前が変わり、白い着物を着せられ、地面の中で絶食する。神仏習合の時代だから即身仏と混同されたんだろうなと思いはしたが、言ってもなにも変わらないから黙って禊ぎをしたし黙って地面に埋められた。

 節をくりぬいた竹だけが外の空気を俺に届けてくれる。強い光を受け付けない俺にとっては地下の暗さは心地良いものだったが、空腹だけは困った。実は俺は俗に言うテンプレトリッパーなのだ。かなえてもらった願いは三つ。青年向けゲーム・Fateにでてくるイリヤの容姿にバーサーカーの宝具である十二の試練、そして闇の婆沙羅だ。行く世界が婆沙羅だと聞いたからってわけじゃないんだが、相手から体力・生命力を奪える闇の婆沙羅は便利の一言に尽きると考えたのだ。そして現在その選択は間違っていなかったと確信している。――周囲からエネルギーを吸収しているから埋められてから三週間近くすぎた(と思われる)現在もなお生きていられるのだ。


「なんだかなぁ」


 辛抱するのが嫌になってきた。初めこそ俺が悪かったんだと思っていたが、三週間も一人でさみしい思いをさせられて、いい加減暇だというのもある。そして、ここまでされる理不尽に怒っているというのもある。俺が一体何をしたかと思うのだ。俺はアルビノで生まれただけだ。俺はみんなの役に立とうと知識を伝えただけだ。


「出ようかな」


 俺は立ち上がった。まだ数え年で三歳児でしかない俺は、大人が十分入れる大きさの樽の中では十分立てる身長だ。それも慢性的な栄養不足もあって華奢なのも今は良い方向に作用した。

 闇の婆娑羅で天井の板を枯らせば、上に載っていた土がぼたぼたと落ちてきた。この三週間の間に雨が降ったのか、湿って重い土を払いながら凌げば青空が広がっていた。土を踏んで底上げし、樽の外へ出た。――俺の近くになんて誰も来たくないらしく人気はない。

 どこか、村を出た遠くへ行こう。俺は短い足で走り出した。













+++++++++
そのうち、もう少しましなタイトル考える
06/23.2011

- 238/511 -
*前目次次#

レビュー・0件


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -