傍観ネタ(シェーマス5)



 ヨーロッパ各国の中でも特に入浴の習慣があるイギリスよ有難う。オレは先生に贔屓されているのを利用して監督生用風呂の使用許可をもらっている。これはオレの努力で手に入れた権利だから他人に文句は言わせない。獅子の頭の形をした蛇口から出る湯ににんまりとしながらまず体を洗った。


「あーる晴れた、ひーる下がり、いーち場ーへ続ーく道ー」


 ドナドナを歌ったのはアレだ、適当な選曲だから気にするな。さすがに斬鉄剣を奪われた時の五右衛門みたくYMCAを歌う気にはならんかったんだ。腰湯をして汗を流しながらほうとため息を吐く。今日も面倒な餓鬼共と机を並べて勉強したオレ、よく頑張った! 特に魔法薬学の授業はグリフィンドール組の餓鬼はみんなスネイプ教授が嫌いだからな、態度が悪いのなんの。慇懃無礼って言葉そのままだ。そんな毎日の疲れも風呂でお湯と一緒に流してしまって、元気に明日を迎えれば良い。

 それにしてもイギリスに転生してからこのかた、入浴の習慣があることほど嬉しいと思ったことはないな。古代ローマには入浴の習慣があったというが、あったはずのイタリアではとっくに廃れた。ヨーロッパの中でもイタリアには火山が多く温泉が湧くこともある。そのヨーロッパの中では特異な入浴好き文化はローマのブリテン島侵略時に伝わり、イギリスでは比較的風呂に入るようになった、と聞いたことがある。もしかすると詳細が間違っているかもしれんがこれだけは言える。マリーアントワネットが風呂に入ったという描写はベル薔薇の中にないが、イギリス貴族が風呂に入る描写ならほかの漫画の中にちょろちょろ出てくる、と。

 現代人からすれば汚い奴らとしか思えないし実際汚かったと思う。だから香水が出来たんだしな。一番ヨーロッパ内で入浴の習慣が廃れた十七世紀前後のフランス国王ルイ十四世なんて初めて入浴したのは七歳の時だぞ、どれだけ垢がたまってたのかと思うと怖気がする。だが当時の清潔の基準は『どれだけの頻度で下着を代えているか』だったとか。ルイ十四世も風呂には入らんかったが一日に三度も四度も下着を代えていたらしい。下着代えるより風呂に入った方がきれいになるし水も使わないだろうに、思いつかなかったのか。さっぱり分からん。

 下着と言えば、茶色がかった灰色のことをイザベル色っつーが、これはカスティーリャ女王イザベル一世が願掛けとして下着を代えなかった故事に由来する。どんだけ汚かったんだ。そりゃイザベル一世のが百数十年ほど昔の人物かもしれんが、ルイ十四世の時代にいきなりそんな習慣が出来たわけでもないだろう、下着を代えることが入浴の代わりだった可能性が大きい。どんだけ汚かったんだ。代えろよ下着。

 そういや前、ジニーの兄貴とすれ違った時に香水付けてるとか言われたことがあったな。石鹸の匂いだっつの。清潔にしてるんだ、シャワーを頭からかぶって終わりの奴らと一緒にしないでくれ。オレは頭から湯をかぶって風呂を出た。良い湯だった。








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 やけに説明くさい話になった……ネタを説明しきってしまいたかったからこんなことに。わお。修正しようかな
04/19.2010

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