なのな!10



 笹川先輩が黄金の右腕でルッス姉の膝を砕いて試合続行不可能にした後、誰がルッス姉に制裁を下すか皆で視線を交わした。誰も(面倒だから)したくない――無駄な労力使うだけ無駄、と目で訴えれば皆がそりゃそうだと頷いてくれた。さて、回収してやんねーと。


「ルッス姉、ルッス姉。そう怖がんなって。今は誰も責めねーよ?」

「え、本当!? でも何で――」

「もう慢心しなきゃ良いだけだろー? ルッス姉は試合中に遊びすぎ」


 さっさと膝を直さないと、金属の破片が取れなくなりでもしたら大変だ。責任をとることは膝が治ってからでも出来るだろ?


「では、次の試合の発表をします」


 笹川先輩がツナたちに囲まれてヤンヤと大騒ぎしてる中、黒いマスクの姉ちゃんの声が凛と響いた。そして、次の試合がどの守護者なのか発表される。

 ――雲。雲!?


「ちょ、なんでだ!? 早くねーかっ?」

「あ゛ぁ?」

「どうしたの、ローンディネ」

「慌てるなんて君らしくない」


 だって、だって次は雲じゃないはずだ。雲は大空のリング戦の前――そこでモスカから九代目が出てきて、それで弔い合戦になる、んだ。モスカ……そうだ、雲が大空の直前だったのは九代目のことがあるからだ。オレは向こうの雨でヴァリアーの雲。なら、雨戦で消耗する前に雲戦で勝つのがヴァリアーとして得。なら、雨戦は明後日もしくは明々後日。疲れが取れないうちにオレを潰せば良いんだから。


「――いや、大丈夫だ。明日が雲戦なんだな?」

「はい。これは厳正なる抽選の結果です」


 うそこけ、と思うけど言わねぇ方が良いだろーな。ザンザスはオレを使い潰す気か? それとも別の思惑があるのか。情報が少なくて分らねぇ。


「スペルビ、オレの試合楽しみにしてくれよな」

「もちろんだぁ! お前の試合を楽しみにしねーで何を楽しみにするってんだぁ?」

「だよな」


 雲雀に負けるとはちっとも思ってない。思ってないけど、戦えば絶対にどっか怪我するし体力を落とすことは間違いない。全力でスペルビと戦うのは無理なのか? くそ、ザンザスがどういうつもりなのか分らねー!!


「吉と出るか凶と出るか――」


 オレは口を引き結んだ。明日の試合は緊張するほどのことじゃないけど、明日以降のことが気になって心臓がうるさい。ツナが雲と聞いてオレを見つめてくるし、リボーンは何考えてるのか分らない目してるし。このイライラ、明日の試合で雲雀に全部ぶつけてやる!!












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 ちょっと短め。ほんの数十文字ですが。さてさて、これはザンザスの陰謀なのか、それとも?
11/15.2010

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