TMRの日記
お父さんがイギリスに一週間の出張に行くことになった。イギリス! イギリス! イギリスって言ったらハリーポッターでしょ?! だからお土産には日記帳を買ってきてっておねだりした。なるべく分厚くて、映画に出てくる教科書みたいな本が良いな。装丁がしっかりした恰好良い本。そしてお父さんが買ってきてくれたのは十年日記っていう分厚い日記で、表紙にDIARYって金文字で書いてある素敵なものだった。
私は日記をうっとりと眺めた。1000ページはあるそれは全部が恰好良くて、使ってしまうのはとても気が引ける。三日くらい眺めて過ごした後、私は良いことを思いついた。この世界に魔法なんてファンタジーあるわけがないって分ってるけど、初めの書き出しにそれはとってもピッタリだと思う。
「わたしの、名前は、喜柚です。あなたは?」
書いて、一つ鼻を鳴らす。文字が沈むように消えなかったのが少し不満と言うか残念で、やっぱり魔法なんてないんだと見せつけられたみたいだった。
眉尻がへにょりと下がる。さっきまでドキドキと高鳴っていた心臓がゆっくり通常運転を思い出す。なぁんだ、やっぱりね。そんな失望が私を満たした。
だけど。
「嘘ぉ……」
浮き出るように現れた短い文章に息を飲んだ。
――おれは、クロロ。
まさかこれは本当に、魔法の日記だったの? 魔法は本当にあるの? 早鐘を打つ心臓が痛い。震える手で「私と友達になってくれる?」と書けば、「良いよ」と返ってきた。――これは魔法だ! 私だけが知ってる魔法。生命力を奪われたって構わない、人には教えたりなんてしない。日記を抱き締め、誓う。見えない友達のクロロ――彼は私だけが知ってれば良い……!
「これからよろしくね、クロロ」
この出会いが、始まりだったと――そう思う。
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こんなのどう? なTMRの日記。ヤンデレに見えるかもだけどこれは魔法を独り占めしたい独占欲です^^ 08/10.2010
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