いらはいtoハンタ3



 怖い怖い怖い怖い、ヒソカが怖い!――試験が始まって、レオリオを助けなくちゃと思って引き返してきたけど……ヒソカは尋常じゃない。フツーじゃない。ありえない。粘着質のオーラが、まるで周囲の生命の輝きまで奪っていくような気さえする。実際、人の命を奪ってってるんだけど。


「やるねボウヤ☆」


 サクサクと足音をさせず――ヒソカはオレに近寄る。


「大丈夫殺しちゃいないよ☆」


 彼は合格だから、とヒソカは笑み、オレに顔を寄せてニィィと笑んだ。


「うん! キミも合格☆」


 もう念を知ってるんだね、素晴らしいよ――と、ヒソカは心底嬉しそうにオレの頭を撫でる。ヒソカは分ってるんだろう、オレが素人念能力者だと。サァと顔から血の気が失せ足が震えてきた。オレはヒソカほど強くはないし、才能があるわけでもない。『念』に狂えない……。


「早く育ってね☆」


 そう言い残してヒソカは去った。しばらく足の震えで動けずへたり込んだ。クラピカに心配されながらも二次試験会場について、十二時までの短い時間を平常心を取り戻すのに使った。









 ボクとイルミしか念能力者はいないと思ってた☆ ハンター以外で念を知ってる人間なんて空で数えられるくらいだし、その念を知ってる人間が今年受験する確率は一厘にも満たない。だからつまらない試験だと――思ってたんだけど、ね☆


「ククク……」


 思い出し笑いすれば、横のイルミ――ギタラクルがカタカタと言いながらこっちを振り返った。


「どうしたの」

「うん? 楽しみな子がいたんだよ。独学なのかまだまだ成長の余地がある子でね☆」


 とっても美味しそうで、今摘み取ってしまおうかと思ったくらいだったんだ。笑いながらそう言えばふぅんという返事がした。興味がないのではなく、これは興味を持った証☆


「それってあの子?」


 イルミの弟キルアと、あの場にいた二人と、あの少年。その四人が固まって不安そうに顔を歪めていた。二次試験で何があるのか分らないからだろうね☆ 黒髪の目がくりくりしたあの子は――本当に、食べてしまいたい☆


「そうだよ☆ かわいいだろ?」


 殺しちゃ駄目だよ、僕の獲物なんだから。そう目で言えば首肯が返ってきた。イルミにとっては弟に近づく邪魔な存在なのかもしれないけど、ボクからしたらそれは違う――二人とも美味しそうな果実☆ ライバルとして仲間として、高めあってくれたらとっても良いね。最後にボクの皿の上に載せられるまで、頑張って熟しておくれ☆


「ああ――」


 さっきは沢山殺したけど、完熟した果実を屠るほどじゃない。墜ちておいで、早くこの手に。


「お腹がすいたなぁ☆」


 唾液腺から口の中に溢れるのは、今だ来ぬ屠殺の日を期待しているから。










+++++++++

 ヒソカが好きだと確信しました。何度目のことだろう。
08/04.2010

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