いらはいto幽白2



 秀ちゃんは高一になり、私は中三になった。他の皆が受験戦争だなんだとヒーヒー言ってる中、大学受験まで一度終えてる私は高校受験なんて楽なもんだからいくらでも秀ちゃんたちに付き合える。生活態度が良いのと普段の成績が良いのとで盟王への推薦が決まってるし、来年からは秀ちゃんと同じ学校に通えるだろうな。


「お見舞いに来ましたー」


 秀ちゃんのおばちゃんが倒れてから数週間。三日おきに見舞いに行ってた私は遂に――浦飯幽助と出会った。確か願い事をするのは満月の夜だけしか無理なんだっけ? じゃあ今日は満月なんだね。


「あら、萩ちゃんいらっしゃい」

「ああ、萩か」

「えーっとぉ……?」


 リンゴを剥こうとしてか椅子をガタガタと引っ張ってる秀ちゃんに、手持無沙汰な浦飯幽助、ニコニコと微笑むおばちゃん――変な構図だ。


「秀ちゃんの友達? 私南野萩、秀ちゃんの従妹だよ」

「オレは浦飯幽助」


 サイドテーブルに見舞いのゼリーを置き、浦飯幽助を振りかえる。なんていうか――気合が入った髪型というか、ひと時代前というか。微笑ましくさえ感じるよ。これは未来から私の感性だからなんだろうけど。


「おばちゃん、秀ちゃん、私屋上に行ってるから」


 二人の世界を作ってて外界なんて目に入らないぜ! なおばちゃんと秀ちゃんに声をかけ、浦飯幽助の手を引いて屋上へ向かう。


「行こう浦飯君」

「え、オレも?」


 浦飯幽助を連れ出し屋上へ向かう。――これだとお兄ちゃんを引っ張る妹の構図だね。私制服姿だけど。

 二人でフェンスに背を預け話し出す。


「さっきも言ったけど、秀ちゃんの従妹の南野萩です。秀ちゃんが友達を――それもおばちゃんの病室にまで連れてくるなんて初めてだからびっくりしちゃった」

「えっと蔵――アイツ、そんなに友達いねーのか?」

「うん。表面上の付き合いはするけど、家族に紹介するような深い関係の人はいないよ」


 そう答えれば唸りだした。そりゃあね、とっても外面良いし、親友とか友人とか沢山いそうに見えるもんね。深い関係になる人間を増やしたくないのか『人間じゃないっぽい』私以外に親しくしてる人間なんていないんだけどね。


「だから嬉しいんだ、きっと秀ちゃんは変わるよ――これから。浦飯君が友達になってくれたんだもん」

「あ――その、浦飯君ってのは止めてくれねーか? むずがゆくてよ」

「じゃあ幽助君で」

「君付けもいらねーよ」

「分った」


 幽助は頭をガリガリと掻いて、がばりと顔を上げる。


「友達になる、とか分らねーけどさ。蔵――アイツと仲良くしてーとは思う」

「うん」


 蔵馬は変わる――より良い方向に。私はその時、何をしてあげられるんだろう? 成長が遅いとは言え私の寿命は人間の倍もない。もしかしたら成長が遅いだけで寿命はただの人間並みかもしれない。いつか私は蔵馬を置いて逝くことになるんだろうけど、なるべく長く一緒にいたいと思うのはいけないことだろうか? これは、近い将来魔族になる幽助と螢子ちゃんにも言えることだけど……。


「――ところでよ、その制服って皿屋敷のだろ?」

「うん、そうだけど?」

「……お前、まだ小学五年かそこらだろ?」

「平身低頭し三度床に頭をこすり付けて謝れ」


 年上だと分ると、蒼い顔で謝られた。学生手帳持っててよかったよ。











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 恋愛感情というよりはおせっかいが占めています。
08/04.2010

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