いらはいtoハンタ2



 だって主人公だもん、ハンター試験を受けたくなくても受けなきゃいけないんだよ。


「ゴン、貴方のお父さんはハンターなの。――あの人はなかなか見つからない人だから……貴方もハンターになって探しなさい」

「ミトさん……」


 原作のように、騙していて欲しかったです。泣きそうな私を抱きしめ、ミトさんはお別れの言葉を言った。勝手にハンター試験受験申込書を出したのは酷いと思う。でも、予定調和とか原作補正とかだと思うとミトさんを怒れない。


「行ってきます、ミトさん」


 店員さんも言ってたじゃない。主人公補正があるから、どうあがいてもハンター試験を受けることになりますよって。強くなっておかないと死にますよって。だから森の中を野性児みたいに走り回ったり熊と相撲を取ったりした。原作のゴンより強い自覚はあるけど、怖いのは怖いの。

 ――私、これから大丈夫なんだろうか?

 私は原作のゴンみたいに単純に強さに憧れることとかは出来ない。怖いし。パンチだけで樹齢数百年の大木を殴り折ることもできるし、手だけで穴を掘って数十キロ進むこともできる――できるけど、その力を人に振うのはどうしても怖くてできない。だから私は『私以外』の存在に頼ることを決めた。ちょうど良いことに私の念系統は具現化よりの特質系で、何かを作り出すことに合っていた。


「ナッツっていうんだよ!」


 それぞれのキャラに特色があって、特異な系統も異なるような漫画――を考えると、リボーン! が一番に浮かんだ。他にも龍玉とかラーメンの具とかトリブラとか吸血鬼ハンターとかが浮かんだけど、一番に浮かんだリボーンがやっぱり一番良いような気がしてそれにした。

 材料から実費で集めて作ったナッツ人形は召喚の媒介。リボーンキャラの召喚――というより具現化をするための制約は『普段からナッツ人形を持ち歩くこと』『召喚時ナッツ人形を持っていること』『ナッツ人形とスキンシップを取ること(話しかける、たてがみのブラッシングをする等)』『仲良くなった相手にナッツを紹介すること』『ナッツ人形が手元にない状態で召喚をすればキャラが暴走する』の五つ。痛々しいことこの上ないけど、これ以外に何かちょうど良い制約ってのが思いつかなかったからこうなった。


「ふむ、手造りか?」

「うん。オレが作ったんだ」

「ガキくせー奴だなァ」


 船の中で、あと数十分もすれば港に着くという頃。オレは慌ててナッツを二人に紹介した。五年も毎日持ち歩けばボロボロになるもんだけど、壊れたら召喚ができなくなるから能力の中に『ナッツ人形は古くならず、壊れない』ってのを入れた。だから今でも新品同様の姿を保ってる。

 クラピカとレオリオはそれぞれらしい反応をした。レオリオは呆れたのも入ってるみたいだけど、頭を撫でてくれてるからきっと受け入れてくれたんだと思う。


「オレの一番の友達なんだ」

「そうか」

「あー……あの島、ちっこかったもんなぁ」


 クラピカは優しそうに微笑み、レオリオはどうやら島にはオレと同年代の子供がいないと思ったんだろう、なるほどと頷いてる。


「――坊主、もうすぐ港だぞぉ」


 船長さんがそう言い、オレたちは進行方向を見る。――ここから、本当の旅が始まるんだ……そう思うと、ちょっとだけでなく怖かった。










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 その2……色々とはしょりました^^
07/31.2010

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