なのな?
なのな! 番外編っぽいもの。
ある春も麗らかな日のことだった。シャマルがオレのモスキートちゃんたちが――!! だとか騒いでた。煩いと思ったけどスペルビに会いに行く方が先決だし、スキップしながら廊下を歩いた――その先に待っているものを知らずに。
「スーペールービー!」
バーンと扉を開け放って飛び込めば、布団を頭から被ったスペルビがいた。風邪でも引いたのか?
「ローンディネかぁ」
「どうした、寒気でもすんのか? なんなら医者を呼ぶぜ?」
駆けよってしゃがみ、下から見上げるように顔色を確認する。熱っぽくもなさそうだし逆に唇が青いと言うこともねー。一体どうしたってんだ。
「う゛ぉい。ローンディネ、笑うなよお……」
「え、は?」
「笑うなって言ったんだぁ! 約束しろぉ!」
「う、うん。分った、笑わねー」
切羽つまった顔でそう威圧するスペルビを不思議に思いつつ頷けば、薄い布団がするりと落とされた。飛び出る――猫耳。
猫耳。
「猫耳……」
「朝起きたらこうなってたんだぁ……」
オレの頭の中で、さっきの騒がしい廊下での声がリピートされる。『オレのモスキートちゃんだちが――!!』。猫耳。『オレのモスキートちゃんだちが――!!』。猫耳。『オレのモスキートちゃんだちが――!!』。猫耳。『オレのモスキートちゃんだちが――!!』。猫耳。
「スペルビ、これはシャマルだ。シャマルのモスキートが逃げて、偶然スペルビを刺したんだと思う」
さっき逃げたって騒いでたから、と言えばスペルビの顔が見る間に赤くなっていく。眉間には深い渓谷、口元はヒクヒクと痙攣してる。
「あのエロ医者がぁぁぁ!! 役にたたねぇにも程があるぞぉ!――三枚下ろしにしてやるぜぇ!!」
「スペルビ、耳! 耳! 目立つだろ?!」
必死に腰にむしゃぶりついて引きとめれば、スペルビが据わった目でオレを見下ろした。――あ、やばいっぽ。
「くく……ローンディネ、オレの腰が好きみてぇだな、あ?」
「いや、不可抗力?」
「そんなに好きなら好きなだけ味わわせてやるぜぇ……」
スペルビはオレの頭を髪ごとひっつかんで持ち上げ、ベッドまで投げ飛ばす。どんだけ腕力あるんだ。スペルビの力が強いことは良く知ってっけど、まさかここまでとは思いもしなかったな――いや、キレてストッパーが外れたか?
「冷静だなぁ?」
「いや、まぁ……冷静にならざるを得ないっつーか」
「黙ってろぉ!」
あー、なんてーの?
シャマル、死ね。
+++++++++
寝込み、と打とうとして「猫耳」が変換予測で出てきたのが運命の分かれ目、鮫たんが猫耳になって燕さんを襲いました。でもほじょさんが言わなかったら書かなかった。有難うほじょさん! でも猫耳あんまり関係ないよ! 春と思春期――じゃなかった、えーっと、メイクラブの季節をかけただけだもの。カッとしてやった。今は反省している。 07/31.2010
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