輝々
その1

 床で向かい合って座ってはいるけどやっぱり身長差は大きくて、見上げる位置に小太郎の顔がある。小太郎の金色の目が細められ、私を見下ろした。確か忍者って夜目も効くんじゃなかったっけ? 前に小太郎さん――里の嫁になったからお義父さんって呼んでくださいねって言われた――がそんなことを言ってた、ような気がする。私には微かな月明りから小太郎の目しか分らないけど、小太郎には私の全体像が見えてるのかもしれない。まあ、私には分らないから良いんだけどね。


「あ、あはは!」


 小太郎の手が腰とか背中に触れるのがくすぐったくてつい笑い声を上げれば、なんでかな、ショックを受けたような空気が漂った。え、何で?

 気配が動いた。小太郎のちょっと硬い髪が両頬と額に触れる。くっついた唇は何度も離れてはまた触れてなんだかむずむずする。幸せって感じがしてくすくすと笑ったら今度は小太郎も嬉しそうな気配がした。さっきのとどう違うんだろ……? 小太郎の首に腕を回してもう一回と強請ってみたら今度はバードキスじゃなくてフレンチキスで、抱きすくめられながらキスをした。


「――はぁ」


 抱き込まれてると、背中に回った小太郎の手が背中の筋をスッとなぞる。耳に吹き込まれた熱い息が色っぽい。小太郎には私の顔が見えてるかもしれないのが恥ずかしくて、小太郎の肩に顔を押し付けてグリグリする。ピトっとくっつこうとしたら引き離された。


「小太――」


 不満を言う前に押し倒され前を肌蹴られる。あんまり自慢にならない胸を舐められて悲鳴を上げたら口を手で塞がれた。そういうことをするものだとは知ってるけど、いきなりは酷い、心の準備が、恥ずかしさで死ねる! 頭を必死に振っても止めてくれなくて飴みたいに舐められた。恥ずかしくて恥ずかしくて、でも――まあうん、言わなくても分って。

 小太郎がゆっくりしてくれたおかげで痛くもなかったし気持ち良かったし、小太郎が好きだなって本当に思えたから良かった。でも次の日は腰が痛くて動けなかった……読唇したら、私が寝た後いじり回してくれたらしい――なんてエロ河童……! 仮にも結婚したんだから今度があるでしょ?! 今度帰って来た時触らせないって言ったら土下座された。










「もう私たちは夫婦でしょうが! 何やってんの、ねえ何やってんの?!」

 アセアセ、ペコンッ

「土下座したって許さないんだからこの変態!」

 アセアセ、アセアセ

「もう二ヶ月は帰ってこなくてよろしい!」

 ガーン!

「さっさと仕事に行っちゃえ馬鹿、変態、エロ魔神!」

 ペコペコ

 ピシャッ!(障子の閉まる音)

 ガーン……











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 最後は――おまけ?
09/08.2010

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