輝々狂い咲きの銅
俺の名前は、今は、ロナルド・ビリウス・ウィーズリー。『ハリー・ポッター』の住人を始めてもうすぐ十四年になる。
「ははっ、あははははははははは!」
今俺は愉快でならない。呆然とするハリー、ハーマイオニー、ルーピン先生、シリウス・ブラック――そしてピーター・ペティグリューを無視して、これ以上の愉快はないと笑い続けた。
「ど、どうしたの、ロン?」
ハーマイオニーがおずおずと声をかけてきた。もしかして、この中で一番勇気があるのはハーマイオニーじゃないか?
「良いペットだった、だって? そりゃあペティグリュー、あんたは良いペットだったよ。あんたを見るたびに笑えて笑えて、愉快すぎて噴き出すんじゃないかって思ってた」
笑いを止めて、言った。
「全部知ってたさ、スキャバーズがペティグリューなことも、シリウス・ブラックが冤罪なことも」
「なっ、ならどうして?!」
ハリーが言いかけて、口をつぐんだ。何を言えば良いのか分からなくなったんだろう。
「面白かったから」
ならどうして、教えてくれなかったの?――そう言いたかったのだろうハリーに、にっこりと笑みかける。
「ロン! 貴方って――貴方って酷いわ……!」
「何で? 俺が言わなくても結局分かっただろ? 分かると決まってたんだから。全ては必ず知ることになる事実なんだから」
一年でヴォルデモートと対峙することも、二年で記憶と戦う事も、三年で――仇を知ることも。全て経験する、経験しなければならない、経験させられる道筋だから。だから、ね、五人とも。これからも俺を楽しませて? 遥かな高みから、あんたたちを見て楽しませてもらうよ。
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