輝々おまけ
おまけ
破廉恥が嫌いな方は閲覧注意です
呆然としてる鈴緒の顔じゅうにキスを落とす。低い鼻の上、額、頬……。
「え、ちょ――」
正気付いたらしい鈴緒が何かを言う前に再びその騒がしい口をふさいでしまう。ファーストだけじゃなく、セカンドキスも奪う。でもサードも奪うつもりだから、今の僕――俺様にとってはどうでも良いことだ。
水音にビクリと跳ねた背中に腕を回し、膝を太ももの間に割り込ませた。柔らかな髪をうなじから逆立てるように梳き、クシャリと掻き乱す。俺様と鈴緒の飲んだフランボワーズが香りたち、木いちごの爽やかな甘い香りが味覚まで甘くする。前までは――鈴緒が淹れた紅茶が甘露のように甘く思えていた。だがあれなど足にも及ばない陶酔が俺様を狂わせる。
体を前に倒し、鈴緒をソファの背に押し付けた。逃げ場のない鈴緒を支配してしまえたような気分になる。鈴緒は簡単に俺様の元を離れてしまえるのだろう、だが今だけは俺様のモノだと高揚するのを自覚する。
「好きなんだ――」
好きだから、といって許されることじゃないことは分かっている。だが年々、いや、日々美しくなっていく少女を隣で見つめ続けて、どうして我慢も続くと言うのか?
ぼんやりと焦点の定まらない様子の鈴緒に微笑む。きっと見えていないだろうが。ローブをたくしあげ、幼児にするように脱がせ――ない。腕から袖を抜き切らないところで止める。セーターも胸まで引き上げ、カッターシャツのボタンを外しつつサードを奪った。今まで、どうでも良い女たちに求められるままキスを浪費してきた。だが体までは許さずに『君の事が大切だから、そういうことは大人になってからしよう』だのと甘言を吐いてきたのだ。好きな女のことを思いながら他の女を抱くなど、虚しいにもほどがある。
「リド、ル……! 冗談きつい、よ?!」
「冗談などではない――許してくれとは言わん、だが」
せめて一度だけ、君を感じさせて欲しい。君が「泣かせたくない」と言った誰だかへの嫉妬で身を焦がし、狂ってしまうその前に。
俺様の目を見て、鈴緒は諦めたように力を抜いた。好きにして良いよ、でもするならせめて部屋にして、と言って。
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