輝々星屑版白雪姫2
レイノ姫が生きていると知った王妃様は、その桜貝の爪をギリギリと噛みしめました。
「どうにかしてあいつを亡き者に――そうだ!」
そこで王妃様が思いついた策とはレイノ姫に毒を盛ることでした。レイノ姫がそれで死ぬとは思えませんが、王妃様はその案に大変満足しました。
「ふふふ、待ってるんだよ、レイノ……君の首、僕が刈ってくれる!」
キャラクター崩壊気味の王妃様は天に向かって高笑いしました。国王様は奥さんの怖さに女性恐怖症になり侍女の前でも舌が回らなくなってしまったそうで、侍従が男ばかりになったので男色かと噂されました。
「そうと決まれば話は早い。毒リンゴを作ろう」
王妃様はリンゴに妖しげな魔術を施すため地下の実験室に閉じこもり、国王様はその実験の間だけ心の洗濯ができました。まさに鬼の居ぬ間になんとやらです。
そして当のレイノ姫は小人たちに連れられ小人の家へ行きます。小人は七人いて、名前をそれぞれアメリア、ドラコ、パンジー、ハリー、ロン、ハーマイオニー、Bと言いました。順番に特に理由はありません。思い出した順です。順不同ですから悪しからず。
「汚い所ですがどうぞお入りください」
Bが恭しく扉を開けると、そこには小さなテーブルや小さな食器棚や小さなベッドのある、小人サイズの空間が広がっていました。
「わあ、可愛い! ちっちゃいなぁ」
「小人だもの」
感嘆するレイノ姫にアメリアが答えました。まあ、もっともです。
「これからはここで一緒に暮らせば良いわ。私たちは宝石や鉱石を探していつも昼間は不用心なの。留守番になってくれるかしら」
パンジーがそう聞いてきたのでレイノ姫は頷きました。外に出るのが厭だったからです。少なくともこの屋根の下にいれば暖かい暖炉と仲良くしていることができますから。
「ずっと一緒にいようよ、レイノ!」
ハリーがレイノ姫の服の袖を引きます。レイノ姫は萌えて鼻血を出すかと思いました。
「うん。お城からは追い出されたし、行く当てがないんだよね。置いてくれる?」
「もちろんですよ! 一年だろうが二年だろうが一生だろうが気にしません、結婚を前提としてお付き合いして下さいレイノちゃん!」
Bはとち狂ったことを言ったので、嫉妬に狂ったハリーに殴られました。アメリアから侮蔑の目を向けられ、パンジーにはゴミ扱いされました。ドラコは可哀想にと思っていましたが、ロンやハーマイオニーはあまりBと交流がなかったので驚いてキョドっています。
「レイノちゃんお手製のボタン鍋を食べましたし、夕飯はいりませんね。今日の仕事も終わりです、寝ましょうよ」
Bがさっきのことなど忘れたように提案したので、優しい六人の仲間も忘れてあげることにしました。レイノ姫は苦笑しています。
ベッドを寄せてレイノ姫が入るだけのスペースを作ると、七人+一人は寝ることにしました。今日は楽しい一日でした。
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