輝々秘密会合を追え!
彼らは各々、自分が良いと思った変装をしていた。闇の魔法使いのようにローブで全身を覆う者、仮面を被る者など……
「では、陰険教授の娘を見守る会、第三回会合を始めたいと思う。ここにいる同士にとって、娘は何よりも特別な存在だと僕は信じている。進行を務めるのは今回も僕ことHです」
中でも背の低い部類に入る――つまりは学年が低い、もしくは変身術でわざと背を低くしている(つまり視覚的情報は当てにならない)――少年が朗々と宣言した。フィルチさえ知らない、隠された教室。そこで何が始まるのか……?
「はい、H氏!」
「何か、F氏?」
お面の後ろから赤毛がのぞいている少年がハイと挙手した。
「僕とジョ――Gは、何故か娘から避けられているように思います! ここにいる全員で原因を究明して頂けませんか」
対になるお面を被った少年もうんうんと頷いている。お面にはそれぞれFとGと書かれていた。
「F氏とG氏が避けられている原因ですか……。多数決を採ります。誰かが娘に避けられてしまう事態に陥った時、ここの全員でサポートをするかどうか――賛成の方は挙手をお願いします。では、挙手」
ほぼ総員の手が上がった。案は可決された。
「では、F氏とG氏が避けられている原因を探ろう委員会を結成します。これはコードネームFG会とします。この中で隠密行動に自信のある方、手を上げてください」
数人の手が上がった。
「その方々はFG会の原因究明のための諜報員になってください。次に、この中で理論的思考に自信がある、もしくはレポート系の成績が良い方は手を上げてください」
また数人が手を上げた。
「その方々もFG会の委員となり、諜報員が集めてきた情報を元に原因を究明して頂きます。これに反対意見のある方はいらっしゃいますか」
手は上がらなかった。Hは頷く。
「では、娘を見守る会分科会・FG会は明日より発足します。先ほど挙手してくださった方は会終了後に残っていただきます。――さて、野郎共、こっからが本番だ!」
「「「「「「「「イェ――――!!!!」」」」」」」」
急にテンションが上がった。Hは後ろの黒板をバンと殴る。
「娘の写真『満面の笑顔編』! 今回は娘の友人A氏に五十枚限定でもらうことに成功した! 全五種で、一種類につき十枚しかない! これはレアだ!」
「「「「「「「「フ――――!!」」」」」」」」
「先ずは『大イカのいる湖畔で、振り返り笑う娘』!」
「4シックル!」
「7シックル出す!」
「5ガリオン出せるぜ!」
わあわあと接戦があり、彼らの財布にも限界があるからだろう10ガリオンで落とされかけた時、静かな声が響いた。
「11ガリオン出しましょう」
最高額から順に十人が買った。即売会終了後、五種類のそれぞれを一枚ずつ手に入れた青年にHは声をかけた。
「B氏! ちょっとお時間よろしいでしょうか?」
「ああ、良いですよ。どうしましたか?」
Bは首をかしげるような仕草をした。
「B氏は――娘を追い始めてどれだけになりますか?」
「それに答えると僕がどんな立場の人間か言わなければならなくなります。ですが、そうですね、この会場にいた誰よりも長いと思いますよ」
この会合が終了して三十分ほどが過ぎた、グリフィンドール寮の一室で。HはBの正体について悩んだ。
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