輝々
将来の夢は、記者になることです

 某少女は今年ホグワーツに入学した。記事から得た確かな情報だ。某少女は夕日色の髪をしているはずで、あの入学式で僕は目を皿にしていた。中でもひときわ背が低く、だけど目立った燃える髪の少女は――苗字をなんとスネイプといった。スネイプ! まさかあの陰険教授の血縁だとでも言うのか?

 まさかそんな、いや、そうかもしれない。何故って、少女は五歳にも満たない時から一人暮らししていたのだから。あの教授が父親だと言うならきっと、仕事で帰れない父親を待ちながら過ごしていたに違いない。なんて健気なんだ!




 少女はスリザリンに入寮した。あの教授と視線を交わし、笑った。可愛いじゃないか!――いや、前から僕は彼女に恋をしていた。でもその想いが今、ドンドンと膨らむのを感じる。ああ、彼女を僕の恋人にできたなら良いのに! でも僕らは誓ってしまった……迫らない、告白しない、と。

 どうして僕はレイブンクローなんだろう? スリザリンとそこまで険悪な仲じゃない寮であることを喜ぶべきなんだろうか。もし僕がスリザリンなら、頼りになる先輩として、勉強面でも恋愛面でも相手になってあげられるのに。

 僕はスリザリンの同士をチラリと見た。同士は優越感たっぷりに笑んでいた。憎い。だが僕はあいつより勝っているものがある。それは『現代魔法使い』のバックナンバーだ。僕と父さんは昔からの読者で、父さんはあの記念すべき連載第一回『ストーカーの行動に迫る。ペドフェリアの怪しい言動』から欠かさず持っているんだから! 家の書庫には『現代魔法使い』のコーナーがあるくらいだ。

 僕は『現代魔法使い』の表紙裏の募集に応募することにした。五歳の時、まだ一歳のあの子に心を奪われてから――僕はここの記者になると決めていた。間接的でも良い、あの子と関わっていたいから。




 『ストーカー予備群 前途ある若者よ、我が社の雑誌【現代魔法使い】に体験入社してみないか?! やる気のある者、B氏を調査したい者、大歓迎です! 興味のある方はお手軽に梟便をお出し下さい』




 僕は笑った。これが、将来への第一歩だと固く信じて。

 下に小さく『なお、当社は調査の際の事故の保証は一切致しません』と書かれていたが、それがどうしたと言うのだろう。僕は彼女のためになら命だって賭けられるからね。それに月100ガリオンの収入は魅力的だ。これで写真をコレクト出来る。












 次の日僕は梟便を出し、書式やなんやかんやを指示した紙を受け取った。さあ、楽しい日々の始まりだ!




 二週間後、雑誌社には心のこもった記事が十数束が届いたが、ホグワーツの保健室には奇怪な呪いを受けた生徒が数十人収容された。

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