輝々ちっちゃくなっちゃった☆その7!
パパと一緒――なんか、そんな感じの題名のゲームなかったっけ。猫と一緒にまったりとした時間を過ごすというほのぼのゲーム。度合いで言ったら動物の森もかなりまったりしてたなぁ、家にソフトなかったから友達ん家で傘のデザインしてお使いして家増築して――うん? あれってかなりシビアなゲームだったのか?
「お薬屋さんに行きたいなっ♪」
空を自由に飛びたいな、Hi! 竹コプター! 表面の塗装がハゲて青い下地がむき出しになった猫型ロボットを思い出す。もともとは黄色かったのにドラちゃん、可哀想に。
「薬屋などで良いのか? 他にも行きたい場所があるのんじゃないのか、レイノ」
セブと一緒にお買い物に行きたい! と言った私。来たのはダイアゴン横町の薬問屋。薬の原材料――イモリの乾物やら何やら。ドラゴンの鱗とかエインセルの鱗粉まで置いてるとか、素敵すぎる。
「ううん。お薬屋さんが良いのだ!」
あと行くとしても本屋だけだね。今の十一歳の私が持ってる蔵書ってのが分からんから覗くだけになるだろうけど、原材料ってのは余ってて悪いことはないもんね!
それに十一歳の私のノートに欲しい物リストがあったから、それを買いたいのだ。強化薬瓶の大中小組みを二セットと、生姜、甘草、スッポン、水酸化ナトリウム、精製水、オリーブ油にパーム油、ココナッツ油……石鹸でも作る気か? 甘草に含まれるグリチルリチンには美白効果もあるし、水酸化ナトリウム以下は手作り石鹸に必要な材料だ。
「どうした?」
ノートを見てウンウン唸ってた私に、セブが腰をかがめて聞いてきた。横顔に見惚れそうだよパパン! なんて素敵なおじさまなんだ、うっかり惚れたらどうしよう。
「なんか私、石鹸作りたいみたいでさ。どうして石鹸なんか作ろうとしてんだろーかって思って」
自分のことなのになんか他人の話題みたいで変な気分だ。ここは誰、私はどこ☆
「前にお前が――十一歳のお前が、同室のビキンスが『その肌はどうやって手に入れたの?』としつこいとこぼしていた。それだからではないか?」
「ああ、なるほど」
手作り石鹸の良さはその成分にあるんだよね。工場製品だと、石鹸の生成過程にできるグリセリンは別に化粧水として売れるから抜いちゃうんだ。
まあアメリアちゃんは純血のお嬢様だし、手作り石鹸を使ってるかもしれないけど――とりあえずしつこかったから何かでかわしたかったんだろうな。手作りだって言えばとりあえず喜んでもらえるだろうし。
「にしても、この生姜は何に使うつもりだったんだろうな」
セブが不思議そうに目を丸くした。この時期だから生姜湯を作りたかったんじゃないかなぁ。スッポンは粉末にして滋養強壮だし。もしかしたらセブに飲ませるつもりだったのかも知れない――セブの顔、いつも白いもん。
「エスカルゴって料理があるけど、セブは食べたことある?」
「エスカルゴ?――ああ、いや、食べたことはないな」
突然の質問にセブはちょっと口ごもって、首を横に振った。
「エスカルゴを出されたとして、食べれる?」
「まあ、食べるだろうな」
カタツムリが食べれるんだったら亀もいけるでしょ。
にしても、石鹸の材料と瓶以外は漢方ってどういうことよ私。西洋薬学やってるんじゃないのか?
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