輝々ちっちゃくなっちゃった☆その5!
「魔法薬学を休講に? どうしてです、校長」
白いひげのジジイ――こと校長のダンブルドアの言葉に目を丸くする。
「だって、レイノが可哀想じゃろう? こんな小さいのに遊びにも行けず大人に囲まれてのう。じゃからセブルスや、遊びに連れて行っておいで」
「実際にレイノが三歳の時それを許して下さらなかったのは校長のはずだと記憶しているのですが?」
「それはそれ、これはこれ、じゃ! ワシだってレイノと遊びに行きたいわい。じゃがミネルバがうるさくてのぅ」
「今までセブルスが休みを貰えていなかった方がおかしいのです。小さな子どもを家に残した親に帰宅の許可を与えないなど――全く、信じられません!」
マクゴナガルが鼻をフンを鳴らした。うっとうしい老婦人だとばかり思っていたが、こういうお節介は有り難い。
「嫌じゃ嫌じゃ、やはりワシも遊びに行きたい!」
「アルバス! レイノに嫌われても助けませんよ!」
羽ペンを放りだして我がままを言いだしたダンブルドアにガミガミとマクゴナガルが怒鳴る。
「それは困る」
ダンブルドアが恨みがましそうに見てくるのを無視して、私は校長室を出た。気に食わない餓鬼共の子守よりなにより、レイノと過ごす時間の方が大切だ。今はスリザリンのまだ信頼の置ける生徒たちに任せてきたが、ウィーズリーの悪戯好きな糞餓鬼などが横から掻っ攫ってしまうかもしれない。不安だ。早くレイノに会いたい……。
運良くレイノたちは今日一限目がない。寮に足早に向かい、扉を開けて入る。――頭が良く、将来有望だと目をかけている五年生の一人が、カメラを手に息を荒くしていた。
「レイノたん……ハァハァ……」
後ろから殴り飛ばし気絶させ、レイノの元に歩く。マルフォイやビキンスに構ってもらっているようだ。
「あ、セブー!」
私に気づき、レイノが嬉しそうに歓声を上げた。『私が来た』ことに喜んでいると思うと優越感が胸を満たすのが分かる――主に、いけすかない後輩に対しての。
「教授、レイノはこんな幼い頃から才能に溢れていたのですね! 僕も負けていられませんよ!」
マルフォイがレイノの才能の一角を見たからだろう、頬を紅潮させて言った。良い傾向だな。レイノは十一歳だが、今は三歳までの記憶しかない。その三歳児がこれほど魔法を使い慣れているとあれば驚くべきものだ。
「ああ、昔から寂しい思いをさせてしまっているが――」
ビキンスからレイノを受け取り、抱き上げた。レイノは今でも小さいが、この時はもっと小さかったのだと思いだす。
「自慢の娘だ」
レイノがふにゃりと笑ったのを見て、私もつい微笑んだ。
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