輝々ちっちゃくなっちゃった☆その3!
腕環にはめ込まれた青い宝石がピカリと輝いた。カっと熱くなった腕輪から慌てて手を引っ込めようとして、腕輪から伸びた触手に手首を絡め取られる。うおお、さっすが魔法界!――じゃなくて!
跳ね返そうと考える前に、腕環はドラコの腕から私の腕に移ってきてしまう。お寺の鐘の内側に入って、高速で除夜の鐘を鳴らされたような気分。震動と、頭の中で鳴り響く騒音に私は意識を手放した。
「教授、スネイプ教授!」
見覚えのある赤毛にハシバミ色の瞳。肌理の細かい白い肌はもちもちとして柔らかい。スリザリン寮生の証拠である緑のカラー――と、これだけ揃えば、たった一人しか該当者はいない。スリザリン寮監であるセブルス・スネイプの娘、レイノしか。
「どういうことだ」
朝食時には、レイノの身長は少なくとも百四十センチはあったはずだが、今はどういうことか百センチに満たない。
「Mr.マルフォイが幼児化していたのはこの腕輪のせいでした。外そうとするとその相手に呪いの対象を変える、質の悪い魔術が掛かっているようで――今度はMiss.スネイプが……」
レイノを抱きかかえてきたのはポンフリーで、後ろにわらわらとレイノの友人――ドラコ・マルフォイやアメリア・ビキンス、パンジー・パーキンソンが付属していた。マルフォイは朝は幼児だったようだが戻っており、不安そうに顔を曇らせている。
「これが原因だったと」
だぼだぼのローブを魔法で小さくした。くうくうと眠っているレイノの腕を確かめると、見覚えのない腕輪が嵌っていた。
「これ以上被害を拡大するわけにもいきませんし、とりあえずMiss.スネイプをこのままにして、解決策を探るほかありません」
周囲が騒がしかったからだろう、レイノの瞼がピクリと震え、眠たそうに眼を覚ました。
「んー? セブ、何でいるの? ここどこ?」
ホグワーツは? と首を傾げるレイノ。ポンフリーが床に下すと、セブルスに抱きついた。
「レイノ、今何歳だ?」
「え、三歳だけど、どーしたの?」
ドラコとは違い、少し舌足らずではあるがはっきりとした物言い。ポンフリーは驚いたらしく目を見開いた。他の誰が三歳になるよりレイノが三歳であるほうが色々と安全なのは確かだと、セブルスは考えた。脳みそのない幼児に校内を冒険でもされて、行方不明にでもなられたら大変だ。
「良いか、お前はもう十一歳でホグワーツに通っている。だが呪いにかかって縮んでしまい、三歳の体に退行した。分かるな?」
「分かった」
頷くレイノに、ポンフリー始め四人はレイノの早熟さに感嘆していた。子供っぽい言動が目立つが、レイノは確かに、周囲から抜けて成熟していた。当然だ、とセブルスは鼻を鳴らす。
「授業受けるの?」
「分かる範囲内なら受ければ良いのではないか?」
「そっか。じゃあ受ける。で、おばちゃんとお兄ちゃんとお姉ちゃん、誰?」
マルフォイやビキンスらとはすぐに仲良くなったようだ。ポンフリーをポピーおばちゃんと呼び、マルフォイたちを名前で呼んでいた。
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