輝々ちっちゃくなっちゃった☆その2!
大広間に入ってすぐ、顔を蒼白にしながらセブが走ってやってきた。
「レイノ、その子供は何だ……?!」
「ドラコだよ。セブ、どうしよう。ドラコが縮んじゃった」
戻らなかったら戻らなかったで、私が立派に育ててあげるけどね。子供産まなかったからママになれなかったもんな、私。
「マルフォイか?――そう言われれば昔はこんな顔をしていたな。ポンフリーのところへ行って診断してもらった方が良いだろう。こんな魔術は聞いたことがない……呪いか?」
「うん、マダム・ポンフリーに診てもらうつもりなんだけど、セブ、寮監だしさ。それにお腹減ったし」
「おなかへったー」
チビドラがぐずって暴れだした。チビだし加減が分かってないんだろうな、予想外に強くてつい落としちゃった。あ、そーだよ。ルッシーの時は私も大人サイズだったから持ちこたえれたんだ。子供サイズじゃ支えきれん。
チビドラが泣き出す。物が重力を無視して浮かび始めた。ポルターガイストっぽい。
「おっと! ごめんねー、痛かったよね? ホレホレ痛くない痛くなーい」
撫でまわして(禿げれば良いのに)どうにかあやした。周囲を高速回転してた椅子とかをセブが引きずり降ろして元の位置に戻してる。
「ほら、お肉だよー。ほれほれー」
すぐ近くのレイブンクロー席から肉の乗った皿をかっぱらってチビドラの前で上下に揺らした。うるんだ目が皿を追う。うん、子供は楽しいなぁ。おもちゃとして。
「レイノ、ドラコで遊んでない?」
「可哀想よ」
アメリアとパンジーに怒られた。
「ちぇっ。ほらチビドラ、お食べ」
あーん、と声をかけたら雛鳥みたいに口を開けた。きゃわゆい! 持ち帰りはできますか? え、店内のみで? 仕方ない、美味しくここで頂きますか。
「レイノ、目つき怪しくなってるわよ?」
「――ハッ! 夢想の世界に旅立ってた!」
「どこよそこ」
アメリアが声をかけてくれんかったらきっと二時間くらいは妄想――ゲフンゲフン、夢の国に旅立ってただろーな。ハロー、ボク○ッキーだよ、アハッ☆ な夢の国じゃない方に。最近パンジーの目が痛いのは気のせいか?
「どうしてこんなことになったのか――私にもさっぱり分かりません。Mr.マルフォイに昨晩変わった様子はありませんでしたか?」
保健室に連れて行けば、マダム・ポンフリーが顔をしかめながら言った。きっと、分からなかったのが悔しいんだろーな。
「昨日に変わった様子? 何かあるかい、パンジー」
猫くらいの脳みそしかないクラッブとゴイルは除外。アメリアは昨晩は部屋で私と宿題してたし、頼れるのはパンジー、君だけだ!
「変わった様子って言われても、そんな、なかったわよ。いつも通りだったわ」
マダム・ポンフリーが肩を落とした。
「そうですか……」
「ああでも、そういえば面白い腕輪を手に入れたとか何とか」
「それだろ」
「それですね」
どう考えてもそれしかないだろう。
「腕輪、腕輪と。これか」
ダボダボの袖をめくれば、金色の輝き。見覚えのないものだったけどドラコん家は金持ちだし次々買っても余裕だしなーとか思って気にしてなかった。
「ここの留め金を――」
外せる、そう思った――ら。
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