輝々ドラコがハリーでハリーがドラコで・中
爆風に吹き飛ばされて、私はアメリアを巻き込んでハッフリパフ席に倒れ込んだ。アメリアごめん、クッションにしてもた。
「キャッ!」
「うわ!」
ドラコとかハリーとか以外にも、現在絶賛昼食中だった生徒たちから悲鳴が上がる。うわあ、大迷惑だ……。
「レイノ、パンジー、アメリア……大丈夫か?!」
いつもの高飛車な物言い――ドラコのはず、なんだけど。聞きなれた硬質な少年の声じゃなくて、もっとアルトで柔らかな……。
「ゲホッ! フレッド、ジョージ、これじゃただの爆発物だよ」
砕けた、最近の少年らしい口調――ハリーのはず、なんだが。いつもよりよく通る……
「ん?」
「あ……?」
「あー、もしかして」
「失敗だな、相棒」
「そうだね、相棒」
ちょっと前に、私とセブの間に起こった事件。それが今、ドラコとハリーの間で起きているっぽい。経験者には分かるのだよ。
「なんで僕がもう一人いるんだ?――ハ! グリフィンドールの制服?! 僕は誇り高きスリザリンの生徒だぞ、どうしてこんな!」
「僕が二人? って、何でカラーが緑なの、ええ?!」
状況を把握できていない周囲と、入れ替わったことに目を剥いてアワアワしてる二人と、私。説明役が回ってきた。フレッドかジョージ、どっちか説明してくれよ。私には荷が重い――って、逃げた、あのクソ双子!
「コラ犯人二人っ! 逃げるな、ちゃんと説明していけ!」
あまり関わり合いになりたくない二人だけど、こういう時だけはここにいて欲しい。
「じゃあMiss.スネイプ! この場は任せたっ!」
「寮監の娘だろ? どうにか執り成しといてよ!」
「寮監関係ねぇぇぇぇ!!」
「ファイト!」
「頑張ってくれ!」
頬をつねり出した被害者二人を放置して、双子はどこぞへと逃げた……。
「あー、ドラコ? ハリー? 説明してあげるからほっぺた引っ張るのは止めて、とりあえず椅子に座ろうか?」
雛鳥みたいな目で見ないでくれ。私は一応元に戻る方法を知ってるけど、ファーストキスが同性ってのは嫌だろ。だから、どうしようもないんだってば!
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