輝々ドラコがハリーでハリーがドラコで・上
ドラちゃんは今日もハリーに嫌味言ってる。暇だねぇ、小学生だね――って、十一歳はまだ小学生じゃないか。
「ドラコもいい加減にすれば良いのに。子供っぽいわ」
アメリアが昼食のソーセージを小さく切りながら言った。中に香辛料がいっぱい詰まってるから私には食えん代物だ。パンジーはもう食べ終えてカボチャジュースをチビチビやってる。良く飲めるね。やっぱり胃のつくりが違う気がするよ。
「まあ、この時期は男の子よりも女の子の方が精神的にも肉体的にも成長が速いからねぇ。幼く見えるのは仕方ないよ」
どこの国でも女の子の方が早く成熟するもんだ。だから年上の、落ち着きを学んだお兄さんに惹かれるんだよね。――でも、うさぎちゃんはアレだよな、タキシ○ド仮面様ってばロリコン! 中二と高三でしてよ、奥様? 一体どんだけ差があると思ってるんだ。五十歳と四十歳の精神の差は小さくても、この年代での十八と十三の差は大きいんだぞ。アニメではもっと差が大きくなって序盤からまもちゃんは大学生だし。
「そうかしら? 仮にも貴族なのよ、相応の落ち着きがあって欲しいわね」
「まあ、それは否定できん」
一応貴族なんだもんね。
パンジーが口元を拭った。
「私は――ポッターにいらつくのは分かるから、なんとも言えないわ」
「うーむ。じゃあ私、ちょっとドラコ回収してくるよ」
「あ、待って待って。私も行く」
パンジーが慌てて立ち上がった。でもそしたらアメリアが一人になっちゃうぞ?
「アメリアはどーする?」
「このソーセージが終わったら」
あと十センチくらいだ。
「じゃあ一緒に行こうか」
ドラコはクラッブとゴイルをひっ付けとかなきゃ生きていけないんだろうか? それともこの二人がライナスの毛布とか。
「ドーラーコッ!」
後ろからこっそり近付いて、パンジーと二人で目隠しした。
「私は誰だ」
「レイノだろう?」
「ハズレ。パンジーだよ」
目隠ししたのはパンジーだから、ハズレなのだ。
「ドラコ、グリフィンドール席にまでわざわざ行って何してるのさ? 暇人?」
「暇人じゃない! このポッターに聞いていたのさ。グリフィンドールはポッターみたいなのを選手にしたみたいだから、明日の試合ではフィールドの下で、グリフィンドール生は駆けずりまわらなくてはならなくなっただろうってね」
私もビーターになるが、それをハリーたちは知らんからなぁ。てか、明日が試合か。そーか。
「グリフィンドールも質が落ちたわよね」
パンジーが嘲笑った。ううむ、質は落ちたどころか上がったのだよパンジー?
「あー、ハリー? 明日は落とされないように気をつけるんだよ」
ハリーの顔が赤くなった。きっと馬鹿にされたと思ってるんだろうな。けど違うんだよ、明日本当に落されかけるからね。
「レイノ、君も……僕が落ちるって思ってるの?」
「落ちるとは思ってないよ、一応」
「どうせ落ちるさ」
ちょっとドラコ、話に割り込むんじゃありません。
「どうせ君もスリザリンなんだよ! ハリーが落ちれば良いって思ってるんだ!」
ロンが口を挟んだ。ああ、邪魔だ……。
「落ちれば良いっていつ言った? ロナルド・ウィーズリー、憶測で物事を判断するのはいただけないな」
「誰だってそう思うに決まってるよ――だって君は、スネイプだ!」
「失礼な奴だなぁ。血の繋がりだ家族だっていうなら、あんただって、あの双子と兄弟なんだから悪戯の天才ってことになる」
「このウィーズリーにそんな才能があるとは思えないな」
「そう言われればそうよね」
ドラコがロンを馬鹿にして笑った。アメリアが後ろで頷いてる。だってそうでしょ? 家族だからっていうならさ。
「おい、フレッド。スリザリンの娘がああ言ったぞ」
「ああジョージ。娘は僕たちを悪戯の天才と呼んだ!」
……うーん? どっからかは分からんが、嫌な声が聞こえたぞ? ところでスリザリンの娘って……私か!
「期待されてるならそれに応えようではないか!」
「我らの悪戯、とくとご覧あれ!」
机の下から這い出してきたのは――予想通り双子のウィーズリー。最悪だ、出会ってしまった。今すぐセブの部屋に逃げ込んでヒッキーになりたい。
盛大な爆発音。ああ、今回はどんな悪戯に巻き込まれるんだか……。
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