輝々
死喰い人苦労記

死喰い人によるメールのやりとり。時代背景全く無視

 オリ
 今日は鈴緒様はお疲れのようで、ソファーに倒れておられた。何か変事でもあったのかと思い訊ねたら、新しい禿げ促進薬を作るために徹夜したとのこと。頑張れアブラクサス。逃げたら許さん。

 アブ
 おいオリオン。もしかしてお前がスキンヘッドになっていたのは鈴緒様のせいか? 実験台にさせられたのか?! もしかしなくともそうだろうな、ところで私は、逃げる。

 オリ
 違うわ、これは、アレだ――ちょっと気分を変えたくて剃っただけだ。決して変な薬を飲まされたせいではない。せいじゃないと言っているだろう?! 逃げるな。戦え、そして負けて、ハゲろ。

 アブ
 いや、どう考えてもそれ剃った跡がないと思うのだが。毛根から、文字通り根絶やしか? 根絶やしにされたのか? すまないオリオン。お前の悲劇には同情すべき点がいくつもあるが、私は自分が可愛い。

 オリ
 剃ったと言っているだろうが信じろ。ところで鈴緒様がお前のためにお菓子を用意されたそうだ。手作りクッキーらしいからさっさと行って食って来い。

 アブ
 信じたいんだが、信じたくないのだ。分かるだろう? それは盛られるということか? そうだろう? クッキーに薬が入っているんだろうな。行きたくない。

 オリ
 分からん。だからこれは剃ったんだ、聞けよデコ野郎。盛られても盛られなくとも、どうせもともと禿げてるんだ、別に変わらんだろうが。待たせる方が怖いぞ。

 アブ
 デコ野郎とは何だぁぁぁぁぁ?! 禿げてなどおらん! これはオールバックだ! 嫌だ、行きたくない! 今度こそ髪が二度と生えてこなくなるに違いない! 助けてくれ、オリオン!




 返信なし。

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