輝々
差し金はあいつだ

「や、やあレイノ」


 大広間につながる廊下で、ハリーはスリザリンカラーのローブを着た少女――レイノに声をかけた。ロンがハリーの頭を疑った様な目を向けてくるが気にしない。後で仕返しするから。


「ああ、ハリー。こうやって話すのは久しぶりかな?」

「う、ん。昨日は会えなかったからさ――今日言おうと思って。ハロウィンおめでとう、レイノ」

「おめでと」


 淡白な反応に、ハリーは焦れた。あの呪文を唱えてくれたなら!


「あー、ハリー。トリック・オア・トリート?」


 今にも泣いてしまいそうなハリーに、レイノがやっと聞いてきた。ハリーの気分は一気に上昇する。


「トリートだよ! はい、レモンキャンデー!」


 押し付けられた黄色い飴の山にレイノの顔が引き攣ったことに気付かず、ハリーはニコニコとじゃあまたね、と背を向けた。ロンが突いてきていて、凄く邪魔だったから。


「これ、ジジイの差し金か……?」


 レイノはその場に取り残され、長く長くため息を吐いた。

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