輝々
あの黒いのは何?

 レイノの姿を探して、いつもレイノがいる席を見やった。マルフォイはいる。パーキンソンもビキンスもいる。でも――レイノの姿だけが見当たらない。


「ハリー! トリック・オア・トリート!」

「ああロン。はい」


 パーティーに浮かれてそう叫ぶロンに、目の前の皿からかぼちゃパイを手渡した。


「有難う――って、違うよ?! 用意してないの?」


 用意ならしている。ダンブルドアが昨日、怪しい笑い声を上げながらレモンキャンデーを両手いっぱいにくれた。だけどそれは、レイノにあげたくて……。


「ううん、あるよ。レモンキャンデー」

「ならそっちをくれよ!」


 仕方なく一個渡せば、ロンは満足そうにそれを口に放り込んだ。――あ、壁際にいた。


「君は聞かないの?」

「え? ああ、トリック・オア・トリート?」

「はい、ハリー」


 ロンから渡されたのは蛙チョコだった。ロンは母さんが送ってくれたんだ、と嬉しそうにしている。


「有難う――後で食べるね」


 今封を開けたら、チョコが逃げ出すのは明らかだ。

 レイノにマルフォイが声をかけた――レイノは黒くて小さい物体に頬を寄せている――首を振って、レイノは動かない。一体どうしたんだろうか?




「ハリー。君、さっきから上の空でおかしいよ。御馳走が目の前にあるんだ! 食べなきゃ損だよ!」








 ロンに手を引かれて、初めて料理をちゃんと見た。美味しそうなものばかりで、ハリーの胃はとたんに空腹を知らせる。


「じゃあ、食べようかな」


 ハリーはポテトを皿に取り、食べ始めた。







 クィレルが入ってくるまで、あと数分。

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