輝々
銃って怖いね事件

☆注意☆

 ほとんどの読者は女性であることから、我々には男の痛みなど分らぬ!! とこの場で言っておきます。もし当サイトの読者で男性の方がいらっしゃった場合は、痛い表現があるので読まないことをお勧めします。












 側頭部を銃弾が掠ったせいで血が出た。と言っても貧血になるほどじゃねぇし見た目ほど深い傷だってわけでもねぇ。だた単に血が多く出る場所だったってだけだ。だがディーノはオレの顔を流れる血を見て顔を真っ青にして銃を取り落した。


「ザ、ザンザス!! ザンザスに怪我が! オレどうしたら!!」


 オレたちは校内にある射撃場でディーノの射撃フォームを見直してたんだが……どうして前を向いてるくせに横に弾が飛ぶんだ? その銃に問題ないことは知ってるから、ディーノの下手くそクオリティのせいなんだろう。弾が左斜め後ろに飛ぶ理由には首を傾げざるを得ないがな。一体どうすりゃそんなマジックじみた芸当ができるんだ。

 今回のコレ、つまり射撃訓練の手伝いをすることになった原因は、先週の射撃訓練の時にコイツの弾が運悪くクラスメイトの股間に当たってしまったせいだ。コイツのおやっさんはソイツに多額の慰謝料を払うことになり、二度とこんなことを起こしたくないコイツは射撃の訓練をオレに頼んだ、というわけだが……いっそワザとだと言われるほうがマシな軌道だな。何故斜め後ろに逸れる。


「落ち着け、ディーノ。こんなもんすぐに止まるから心配すんな」

「ででででもでもでも……!」

「うるせぇ黙れ。オレが避けられりゃせずに済んだ怪我だ、テメーのせいじゃねぇ」


 混乱して涙目のディーノを殴って大人しくさせ、練習を再開させる。今度はすぐに反応できるようにヤツから視線を離さず――弾がどんな軌道を描いているのかを見極めようと目を凝らした。


「……ある意味で天才的ってことか」


 当てるつもりがない場所に何故か弾が当たるこの凄さ……天才的に下手だと言う他ねぇ。


「お前、どんだけ残念なんだ」

「うっ、ううっ……」


 涙をダバダバ流すディーノの頭を小突き、男ならこのくらいのことで泣くなと叱る。ディーノの武器は鞭だっただろ、確か。なら銃より鞭を訓練した方が良いんじゃねぇか?


「お前、武器を変えろ。そりゃあ銃は持ち運びに便利だが弾がなくなりゃただの鉄塊に過ぎねぇ。……まあ、撃てねぇよりゃ撃てる方が良いんだがな」


 射撃は授業の単位に含まれてるからな、出来ないよりゃ出来る方が良い。だが今のディーノには無理だ。


「じゃ、じゃあオレは何を使えば良い……?」

「そんなことオレが知るか。いくつ武器を試して、テメーにとって一番使い勝手が良いヤツを選べ」

「あ、そ、そっか」


 そしたら今度は武器選びを手伝ってくれと縋りつかれた。コイツ、どんだけ軟弱な精神構造してやがるんだ? オレ以外にも訊く相手なんざたくさんいるだろうが、教師とか。


「餅は餅屋、オレに頼るな。教師や武器屋のヤツに頼れ」

「うっ……そんなぁ」


 しょんぼりとうなだれたディーノにデコピンする。


「見捨てるとは言ってねーだろ。おら、行くぞ」


 オレを見上げるディーノの頬を引っ張って歩き出せば、痛いと泣きながらついてくる。まあ、半分以上オレが引き擦ってるようなもんだが。

 ボンゴレの贔屓にしている店へ行こうと街へ出たのは良いが、ハロウィンが近いせいか街はジャック・オ・ランタンやお化けの飾り物で騒がしい。ディーノは餓鬼みたく目を輝かせてあっちへ行こうこっちへ行きたいと騒ぎ始める――武器を見に行くっつったのはテメーだ!


「おい、お前に合ったのを探しに行くんだろ」

「だけどザンザス、ハロウインなんだぜ? 学校じゃ特にコレといったことしないしさ。あ、あそこのカボチャのジェラート美味そう!」


 あんまりうるせぇから仕方なくジェラートを買った。当然オレがヤツに奢るわけがねぇ。

 右へ左へあちらへこちらへと地に足付かないディーノに苛立ちが募っていく。コイツ、自分が頼んだくせして……空気を読め。それともイタリアーノはKYの産地とでも言うつもりか? ジジイしかり、ディーノしかり。ウゼェ。


「おい、さっさと行かねぇとオレは帰る」

「行く! 行く行く行くから!」


 腰にしがみついて帰らないでくれとわめくディーノの姿は人目を引く――おいそこの通行人! コレは痴情のもつれじゃねぇ!!

 やっと店に着いて、ディーノが武器を一つずつ試していく。だがどれも合わねぇのか、一つ試す度にディーノ自身や店主、オレの誰か一人が怪我を負う。そして今度は銃を試そうと、地下にある射撃場へ向かおうとした……その時だ。

 パァンと軽い銃声とガラスの割れる音、そして悲鳴が外から聞こえた。瞬間オレは外へ躍り出る。マフィアの学校があるから治安が悪い場所かと言えば、全くその逆――中立地帯として、生徒の学費から治安維持費が捻出されているからだ。そんな場所で何故っ!

 通りでは、筋肉太りした金髪と、金髪に比べると細身だがガッシリした体型の茶髪の男の二人組が銃を向け合っている。


「ここで会ったが百年目だぜ」

「こっちこそ、テメーにまた会った時には殺してやろうと思ってた」


 夕方とはいえまだまだ明るいお天道様の下で殺し合いするんじゃねぇ……! 他人に迷惑かけんなウゼェなコイツら!!


「テメーに殺されたオレのマグナムの悲しみ、受けてみやがれ!」

「てめぇこそオレのミサイルを潰しやがって、手術代いくらしたとおもってんだ!?」


 ……こいつらの言いたいことが分ることが凄く悲しい。つまりこいつらはお互いの大事な部分を殺し合ったということか――逃げ惑っていた街の住人の半分、男たちは真っ青な顔で自らの股間を手で覆った。店から顔を出したディーノも「なんて恐ろしいことを」と歯をカチカチ言わせる。


「食らいやがれっ!」

「なんのっ!」


 互いに銃口を向け合った二人は引き金を引き、二人して崩れ落ちた。


「ぐおおおおおおッ」

「うぐぁぁぁぁッ」


 二人の銃口は互いの頭を狙っていたはずだったが、何故か命中したのはそれぞれの急所。


「てめぇ、またオレのミサイルに当てやがって……このヘタクソッ!!」

「テメーこそ……オレのマグナムにまたッ! 殺すぞこのドベタクソ!」


 罵り合う二人の姿に男は涙し、女は心底馬鹿にしたような目を彼らに向ける。


「……あの、オレ、銃の試し打ちやめときます」


 オレの後ろで、ディーノが店主に銃を返していた。






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 下ネタ系ギャグになってしまった……。まる様、書きなおしは受け付けます(汗)
11/12.2012

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