輝々
andとorで大きく違う

 浮かれたホグワーツのハロウィンパーティーを抜け出して、とんぼ返りを覚悟で帰宅した我が家。そこで、こんな問題が待っているとは思いもよらなかった……。


「お帰り、セブ」


 仕方無いとは言え私が家を空けているため、レイノはいつも一人で寂しい思いをしている。だがこんな駄目な父親である私のことを嫌うどころか好いてさえくれていて、帰れば必ず満面の笑顔を向けてくれる。優しい子だ。


「ただいま」


 背が足りず腰に抱きついてくるレイノを、腰を屈め抱き返す。他の子よりも成長が遅いのはやはり、私のせいなのだろう。もう七歳だというのに、五歳か四歳くらいにしか見えない。


「今日はハロウィンだから御馳走にしたよ」


 レイノの言葉に、フと帰宅できることとなった催し事を思い出す。浮かれて全く落着きが失せている生徒たちと他の教師陣を思い出し、苦虫を噛み潰したような気持ちになった。


「ハロウィンに御馳走作るのは初めてだねー」


 レイノは私の手を引いて台所に向かう。そういえば、ハロウィンにレイノに土産をやったことがなかった。思い出し顔から血の気が引く。自分がここまで抜け作だとは思っていなかった。


「ところでレイノ。……ハロウィンに唱えるお呪いを知っているか?」


 今更だな、と自嘲しながら訊ねてみる。


「え? トリック&トリート?」








 ちゃんと教えていなかったことを、これほど後悔したことはない。







 あの後レイノが「ヤベ、あれはリンレンだった」と何やら呟いていた。

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+++nex




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