輝々
忍ばず忍びたり忍ぶ忍ぶれば忍びよ

 一年は組の良い子たちが懐かしい……それか、旦那。授業を全く聞かなかったり問題ホイホイだったり、暴走列車のごとく走り出したら止まれないうえ二言目には「減給!」だったりしたけど。今のこれよりはまだマシかなと思わなくもない。過去っていうのはほら、美化されるって言うデショ。

 沖田さんがぶっ放したロケットを土方さんが俺を盾にして防いだのが昨日の話。『地味すぎて木かと思った』とか、謝ってないでしょ!? それで謝ったつもりならもう一度礼儀を勉強してきなよ! おかしいでしょ!

 人間だと認識されないまま一時間ほど放置された後、手洗いに立った近藤の旦那に発見され今に至る。正直言って、炭と化している俺を見つけた時に驚きのあまり脱糞したとかそんな情報いらないから。ホントにもういらないから。これ以上俺の尊敬の念を減らさないで欲しい。


「退さん、起きてますかー?」

「ああ、新八君。見舞いに来てくれたの?」


 病院でベッドと愛を囁き合ってた俺の元に、地味仲間というか――目立たないーズって言うの? 二足歩行の生き物の中で一番仲が良い子が顔を出した。テニスしてた時は東方と二人でジミーズって揶揄されたけど周囲がキラキラしかったのが悪いと思うんだよね。なんなの、テニス界って美形しかいないの?

 そして新八君の後ろからは神楽ちゃんと銀時の旦那もゾロゾロと現れる。ついでに仲が良い相手その二は神楽ちゃんだ。旦那は……まあ知り合い以上友人未満だね。


「退ー!」


 猪のように飛びついてきた神楽ちゃんを受け止めようと両手を広げ、ガシリと抱きしめ合う。これでも婆娑羅者だからね、力には自信がある。


「怪我した聞いたよ! 退元気か!?」

「心配ないよ。ホラ、いつも通り神楽ちゃんを受け止められてるデショ?」


 神楽ちゃんの頭を撫でながらそう言えば、安心したように擦り寄ってきた。ま、初めは不本意だったけど餌付けしてるからね……こういう時に心配してくれるほど仲良くなっちゃったわけよ。


「旦那もお見舞いありがとね。それは見舞い?」

「ああ、ジミーは和菓子好きだろ? みたらし団子買ってきた」


 ほいよ、と渡された包みを開ければ三本のみたらし団子で、焦げ目も美味しそうだ。


「嬉しいよ、ありがとう。で、その手には何があるのかな」

「メロン」

「退、美味しいあるよ!!」

「スミマセン銀さんがこんなで本当にああもう銀さん神楽も!?」


 土方さんからの見舞いの品だったはずのマスクメロンが、いつの間にか半分に割られて旦那と神楽ちゃんの手の中にあるのはどうしてなのかね? それも神楽ちゃんの持ってる半分はもう皮だけどか、もう俺泣いて良いよね。ああ、は組の良い子たち……先生はもう涙が止まらないよ。それと旦那……お八つのために飛び回る生活がどれだけ平和だったか。あの時代が懐かしい。


「こ、これは広島銘菓もみじまんじゅうに箕面銘菓もみじのてんぷら!? もみじつながりだがなんかおかしくねーか美味いなコレ」

「あーもう! 人の見舞い品勝手に食べるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 この糖尿病患者が! 旦那よりも酷いよこれホント泣きたい! ああ、あの頃へ帰りたーいっ!






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 略称「忍び五段活用」\(^p^)/ネタ作のジミー成り代わりものをやっと書いたけどなんか消化不良。
2012/06/12

 テニプリも行ったんだったとコメントで度忘れを指摘され、大慌てで修正。
2012/06/13

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