輝々お兄ちゃんは心配性
ボクに駆け寄ってくるユカリ、お兄ちゃん大好きと言ってはにかむユカリ、可愛いユカリ。
バレンタインデーに、ユカリは世話になったクロロやノブナガに礼をしたいと言って手作りチョコレートを配った。それだけでも彼らが憎いのに、お返しと称してデートに誘おうだなんて百年早い。
「お兄ちゃんあのね、クロロさんが――」
ユカリがクロロに誘われて映画と夕食に行くという話を聞き、止めるユカリを腰に付けたままクロロの元へ突撃する。――そこには、棒付き飴を舐めているシャルナークと普段よりもシンプルな格好で本を読むクロロがいた。
「やあ、性犯罪者☆」
「ぶほっ!」
シャルナークが噴いて飴を飛ばした。ヒソカだけには言われたくない台詞ナンバーワンだとか笑いながら切れ切れに言う彼は無視し、嫌そうに顔をしかめるクロロを見る。
「言いたいことは分かるよね? ボクの可愛いユカリに手を出そうなんて一兆年早いよ☆」
「礼のつもりで誘ったのを、そんなうがった思い込みでけがされるのは気持ちが良いことではないんだが」
「ハ、どの口がそれを言うんだか☆ その汚らしい手でボクの可愛いユカリに触れてご覧、次の瞬間にはキミの両腕はないと思うんだね☆」
「『ボクの可愛い』がユカリちゃんの名前の一部みたいになってて気色悪いね」
「キミは黙ってて☆」
シャルナークの茶々が今日は邪魔苦しい。腰にへばりついた可愛いユカリが顔色を悪くする。大丈夫だよユカリ、今お兄ちゃんが性犯罪者を除去してあげるからね☆
「お、お兄ちゃん?」
「ユカリ、お兄ちゃんがちゃんと釘を差しておくからね? こんな性犯罪者野放しになんてしておけないよ☆」
クロロの顔がひきつった。
「さっきからごちゃごちゃと、人をロリコン扱い……貴様はどうなんだ。妹に劣情を抱く性的倒錯者ではないのか」
「キミと一緒にしないでくれるかな☆ これは美しい兄妹愛って言うのさ☆ キミみたいなのとは違うんだよ☆」
「貴様とは一度、はっきり決着を付けた方が良いらしい」
クロロが本を閉じた。
「表へでろ。ここでは被害が大きい」
「そうだね☆――ユカリ、ちょっと待っててね」
ユカリをそっと剥がして、先に出たクロロを追って外へ出る。
「その変態的な見た目と口調をユカリが苦痛に思っていると分からない!」
「ユカリはいつも『お兄ちゃん大好き』って言ってるからね、苦痛なわけないだろう!?」
後から、殴り合うボクらを放って蜘蛛のメンバーがユカリを連れて外食に出かけたと聞いた。マチとパクノダがユカリを挟んで座ったらしい。ユカリの隣はボクのなのに!
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ちょっと短いかな? 未来軸のお話。リク主様のみ持ち帰り可!
2012/03/21
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