輝々
そは呪いの……

 まだ十歳にもなってない幼児がセクシーポーズしたところで誰得なんだけど、標的を見定める女豹のポーズをしてみた。三歳児のぷりんとしたお尻が強調され、この桃尻にむしゃぶりつきたくならない奴はいないだろうと思われる。


「何してるの?」

「色仕掛けの練習」


 元々顔立ちも猫っぽいと評判の俺だ。さぞかしキュートでプリチーに違いない。


「ちなみに、誰にする予定か聞いても良いかしら」

「決まっているだろう、俺の父親(かもしれない)イルミ・ゾルディックにだ」


 俺が姿勢を正して胸を張ると、問答の相手――パクノダが長々と嘆息した。


「貴方はどうしてそう……」


 呆れた様子で頭を振るパクノダに、だがしかし俺は言ってやった。


「つまりホワイトデーの決戦は近いということだ、パクノダ!」

「意味が分らないわ」


 バレンタインに髪の毛入りチョコを渡された俺の気持ちが分るか? いくらロリショタ男に騙されたとはいえ、今までに食べたチョコレートに髪の毛が混入していたことはないだろう!? 呪いかストーカーでしかそんなことせんわ、普通! 執事に聞けよ、バレンタインのプレゼントに何をやれば良いかくらいさぁ!





「あー……これ、ルイからよ」


 パクノダに渡されたのはルイのオーラがまとわりついた箱で、何だろうと思って開けるとマシュマロだった。


「何、これ」

「何って、マシュマロよ」

「そうじゃなくて……」


 オレがどう言えば良いのか言葉を探していると、パクノダは言いたいことが分ったのかパッと顔を明るくした。


「今日はホワイトデーなのよ。バレンタインのお返しをする日なの。バレンタインにはチョコレート、ホワイトデーにはマシュマロを送るのがメジャーね」

「へえ」


 ヒソカによると、バレンタインに贈るチョコレートには親愛を込めて髪の毛を混ぜ込むのが普通だそうだ。なら、マシュマロにも髪の毛を入れるんだろうか? 目の前の女なら知っているかもしれない。


「マシュマロには何を入れるの?」

「は? えーっと、ジャムとかチョコレートかしら?」

「ふうん」


 マシュマロを摘まんで匂いを嗅ぐ――単純な甘い匂いしかしない。カカオやジャムの匂いがしないということは、何も入ってないんだろう。それとも無臭の毒とかかな……。

 食べようと口を開いた瞬間、摘まんでいたマシュマロも箱の中のマシュマロも全て、炎上した。とっさにオーラで防いだものの前髪が一部焦げてしまった。


「やーいやーい、バレンタインのお返しじゃ! 自分だけ美味しい思いができるとでも思ったか! ばーか、あーほ、なーす、カース! やーいイルミのスカポンタン!」


 絶を解いたらしく突然現れ、お尻をこっちに突き出して手でパンパンとお尻を叩きながらあかんべをするルイ。なんだかイラッときた。横でパクノダが額を押さえている。


「女豹……セクシーさとは程遠いわよ、ルイ」

「待て」

「待てと言われて待つ馬鹿はおらぬ! 風と共に去りぬ! 去らばだサラダバー!」


 子供らしくチョコマカと、しかし念能力者らしく超人的なスピードで走りだしたルイを追ってオレも駆ける。

 泣き叫ぶルイのお尻ペンペン百叩きをした後に旅団の奴等と悪戯の理由を聞いたら、オレのチョコレートが原因だった。ウボォーギンとノブナガとフランクリンからそれぞれ百回尻を叩かれたオレを、ルイはげらげらと笑いながら見ていた――ヒソカ覚えていろ。







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 リク主様のみ持ち帰り可^^思ったよりも餓鬼っぽくなってしまった……
2012/03/15

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